売れない不動産を売るための方法は?売れなかった場合の対処法も解説
相続等で不動産を所有することになったものの、土地が田舎にあるなどが理由で活用できず、売却しようにもできないといった状況に困っている人が増えています。売れない不動産を所有し続けると、固定資産税や維持・管理などが大きな負担となります。
本記事では、不動産が売れない理由や、売却するために今すぐできる対策、売れなかった場合の処分方法について詳しく解説します。売れない不動産にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産が売れない理由とは

不動産が売れない場合、買い手側から何らかの理由で購入を避けられている可能性があります。ここでは、不動産が売れない場合によくある理由を紹介しています。まずは、物件がなぜ売れないのか、その原因を分析して対策を検討しましょう。
立地が悪い
立地は、不動産の価値を最も大きく左右する要素です。例えば、最寄り駅が遠い、市街地からアクセスしづらいなど、交通の便が悪い場合は売れない原因となります。また、スーパーや病院、学校など、インフラ整備が追いついていない地域は、買い手にとってのデメリットとなり、売却が難しくなります。
不動産の立地が悪い場合は、立地以外の面で不動産の魅力を伝えるといった工夫を考えてみましょう。
土地の状態が悪い
土地の状態も、売却の難易度に直結します。例えば、活用しづらい旗竿地や形がいびつな不整形地、傾斜地等は、建物の建築が難しかったり、活用できる土地面積が少なく、買い手にとって購入意欲をそがれる原因となります。
もし可能であれば、土地を造成するなど活用できるようにすることで、売れる可能性があがります。
不動産会社の力不足
物件自体に大きな問題がなくても、売却を依頼している不動産会社の力不足のために売れ残っているケースもあります。例えば、物件の魅力を引き出す広告が作れていない、サイトへの掲載が少ない、他の不動産会社への情報共有を怠っているなど、不動産会社の営業能力が不足しているために売れない場合があります。
不動産会社に依頼をする際は、複数の業者で比較検討するなど、できるだけ販売活動に力をいれてくれる会社を選ぶようにしましょう。
不動産を売れるようにするための対策とは

売れない不動産であっても、ちょっとしたポイントを抑えて手間やコストをかけることで、買い手が現れる可能性は十分にあります。ここでは、不動産を売れるようにするためにできる対策を紹介します。
更地にする
土地に古い建物が残っている場合、売却の妨げになっている可能性が高いです。建物をそのまま活用できない場合は、買い手にとって解体費用が大きな負担となるため、更地にしてから売り出すことを検討しましょう。
これまで売れなかった土地でも、更地にすることで活用の選択肢が広がるため、売れる可能性が高まります。注意点として、空き家を解体すると固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されなくなり、増額される可能性があるため、解体前に税理士等の専門家に一度相談してみることをおすすめいたします。
価格を下げる
最も直接的で効果が出やすい対策が、売却価格の見直しです。周辺の類似物件の相場や、路線価、固定資産税評価額などから検討して、自身の不動産が割高になっていないか確認しましょう。
一般的な相場や周囲の不動産と比べて安いと判断されれば、買い手が現れる可能性があります。
不動産会社を変えてみる
同じ物件であっても、不動産会社を変えることで、申し込みが増える場合もあります。不動産会社によって得意とする分野や持っている顧客は違うため、場合によっては不動産会社を変えてみることも検討しましょう。
複数の不動産会社に依頼し、選択肢を広げることで、売却可能性も高まります。
広告費用をかけてみる
不動産がポータルサイトなどに掲載されているのに、内覧の申し込みが少ない場合は、広告をだすことも検討しましょう。広告は、チラシやネット広告など様々なものがありますので、不動産会社に相談のうえ、最適な広告を検討しましょう。
また、物件の写真等は可能であればプロのカメラマンにお願いするなど、品質にもこだわりましょう。物件を魅力的にみせることで、購入される確率は大きく上がります。
内覧から購入につなげるためのポイント3選

内覧は、購入希望者の決断を左右する最も重要なステップです。いくら不動産に興味を持ってもらっても、内覧時の印象が悪ければ成約には至りません。ここでは、内覧から購入につなげるためのポイントを3つ紹介します。
1.ホームクリーニングなど外観を整える
内覧において最も重要なのは、物件の外観や内装の見た目です。庭の雑草が伸び切っている、庭木が伐採されていない、外壁が汚れている、部屋が汚いといった状況では、内覧者の心象を悪くしてしまいます。
内覧前は、ホームクリーニングや外壁の塗装、草木の伐採等を行い、できるだけ整えておくことが大切です。整った外観や清掃が行き届いた内装を見せることで、物件の印象は格段に良くなります。
2.ホームステージングを行う
ホームステージングとは、売却する物件に、家具や照明、インテリアや小物を配置して、購入後の生活を具体的にイメージしてもらう手法です。何もない殺風景な部屋よりも、おしゃれな家具が配置されている方が、内覧者は「ここに住みたい」というポジティブな感情を抱きやすくなります。
全ての部屋で行う必要はなく、リビングや寝室など、主要な空間だけでも効果に期待できます。
3.他物件との比較資料を作成する
内覧に来る方の多くは、他にも複数の物件を比較検討しています。その中で自分の物件を選んでもらうためには、客観的な「良さ」をアピールする資料が効果的です。
例えば、近隣の類似物件と比較した際の優位性(価格の安さ、設備の充実度、周辺環境など)をまとめた資料を用意しておくと、所有している不動産の魅力が伝わりやすくなります。
売れない不動産の放置は危険?考えられるリスク3選

活用もできず、売却できない不動産を所有している場合、わざわざ時間やお金をかけて不動産を維持、管理しておこうという人は少ないでしょう。しかし、売れないからといって、不動産をそのまま放置しておくと、様々なトラブルの原因となります。ここでは、不動産を放置することで考えられるリスクについて紹介いたします。
税金や損害賠償
不動産は、所有しているだけで固定資産税や都市計画税が毎年課税されます。たとえ収益を一切生んでいない土地や空き家であっても、課税を免れることはできません。
また、土地の管理不足により、損害賠償を請求されるリスクがあります。例えば、老朽化した外壁が倒壊して通行人に怪我をさせた、土地の庭木が道路にはみ出して事故の原因となってしまったという場合、損害賠償を請求される可能性があります。
近隣住民や家族、親族とのトラブル
管理されていない不動産は、近隣住民や家族・親族間のトラブルの原因になる可能性があります。不動産を放置していると、老朽化による景観の悪化、害虫や害獣の発生、悪臭などの原因となり、苦情をいれられる可能性があります。
また、不動産が売れないままに相続されてしまった場合、権利関係が複雑になり、ますます売却が難しくなります。家族や親族間で不要な不動産を引き受ける負担を巡って、対立に発展するケースもあります。
不法投棄など犯罪に巻き込まれる
管理が行き届いていない不動産は、犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。周囲から放置されていると思われた不動産は、不法投棄の標的にされてしまう可能性が高まります。その他にも、不法侵入をされたり、放火されるといった犯罪に巻き込まれる場合もあります。
最悪の場合、知らない間に犯罪現場に利用されてしまい、警察から聴取をうけるなど、意図せず犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。
不動産が売れないと判断する期間は1年?

不動産を売りに出しても、買い手が見つからない場合は、売却以外の方法で処分を検討する必要があります。どの程度の期間で売れないと判断するかは物件の状況などによっても大きく変わりますが、一般的にはおおよそ三ヶ月程度が土地の売り出しから購入までの平均的な期間というデータもあります。
不動産の売り出しから、三ヶ月を過ぎても問い合わせが全くないなどの場合は、売却が難しい可能性を考慮した方がいいかもしれません。
参考:首都圏不動産流通市場の動向(2024年)「公益財団法人東日本不動産流通機構」
売れない不動産を処分するための方法5選

不要な不動産を所有することは、税金や維持・管理の負担を負い続けることになります。そのため、ある程度の期間売却活動を続けても不動産が売れない場合は、売却ではなく処分を検討した方がいいかもしれません。ここでは、不動産の知識がなくても行えるおすすめの処分方法をご案内します。
空き家バンクに登録する
空き家バンクは、主に地方自治体が運営する、空き家の売買や賃貸を希望する人のためのマッチングサービスです。空き家バンクでは、通常の不動産市場では買い手がつかないような物件でも、その地域への移住希望者や、古民家を探している人など、特定のニーズを持つ買い手が物件を貰ってくれる場合があります。
ただし、すべての自治体にあるわけではなく、自治体の発信力が弱い場合は、買い手がみつからない可能性もある点に注意しましょう。
近隣住民に譲渡する
所有している土地が売れない場合は、近隣住民に譲渡する方法もあります。隣地の所有者にとっては、土地が広くなることで駐車場など活用の幅が広がる、土地の価値があがるなどのメリットがあるため、受け入れてもらえる可能性があります。
もし連絡先がわからない場合は、法務局で登記謄本を取得することで、住所を調べて手紙をだすことができます。
相続土地国庫帰属制度を利用する
相続土地国庫帰属制度は、相続、または遺贈によって不要な不動産を取得した場合、国に有償で引き取って貰える制度です。ただし、利用には条件があり、不動産に建物が建っていないこと、担保権が設定されていないことなど、一定の基準をクリアする必要があります。
また審査手数料と負担金を支払う必要がありますが、審査手数料については、審査が不承認となった場合でも返金されません。利用を検討する場合は、所有の不動産が対象となるかどうか、最寄りの法務局等に相談してみることをおすすめします。
有料引き取りサービスに依頼する
不動産会社による仲介や買取、近隣住民への譲渡、国庫帰属制度など、その他の方法でも処分できなかった場合に使えるサービスとして、不動産の有料引き取りサービスがあります。有料引き取りサービスの事業者は、不要な不動産の活用や処分について、ノウハウや専門知識があるため、他の方法で断られてしまった土地でも引き取って貰える可能性があります。
サービスの利用は有料となりますが、不要な不動産の税金や維持・管理のための負担を考えれば、引き取ってもらった方が得をするケースがほとんどです。不要な不動産に困っているという方は、まずは無料相談を検討してみましょう。

マッチングサイトに登録する
最近では、不動産の売買でも、個人間でやり取りするマッチングサイトを使う人が増えています。マッチングサイトを使うことで、他の方法で処分できなかった不動産であっても、自分の好きな価格で全国の買い手に向けて情報を発信することができます。
マッチングサービスは、土地の売買に関心が高いユーザーが集まっているため、申し込みからの成約率が高いのも特徴です。不要な土地を所有していて、時間をかけても売却したいという方は、ぜひマッチングサイトに登録してみましょう。

まとめ
売れない不動産を所有し続けることは、税金や管理の負担だけでなく、損害賠償や近隣トラブルといった深刻なリスクを伴います。様々な対策を行っても売却が難しい場合は、放置するのではなく、「処分」へと舵を切ることも検討しましょう。また本記事も参考に、自身の不動産にあった方法を検討してみましょう。
監修者
株式会社KLC 代表 小林 弘典
幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。
不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。
- 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
- 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
- 立命館大学経済学部 客員講師
- 不動産有料引取業協議会 代表理事
