相続負動産の教科書

売れない実家の処分方法とは!?放置のリスクや処分のポイントを解説
空き家の処分方法

売れない実家の処分方法とは!?放置のリスクや処分のポイントを解説

相続などで実家を所有することになったものの、活用も難しく売りにだしても買い手がないといった状況にお困りではないでしょうか。長期間不動産が売れない状態が続くと、維持費がかさむだけでなく、維持・管理の負担も増大してしまいます。

本記事では、そんな売れない実家にお困りの方のために、実家が売れない原因や、売却するためのポイント、売却以外の処分方法などについて詳しく解説します。 実家の処分を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

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売れない実家によくある特徴3選

売れない実家によくある特徴3選

売却が難しいとされる実家には、共通する特徴があります。ご自身の実家がこれらの特徴に当てはまっていないか、まずは現状を把握することが重要です。ここでは、特に売れない実家によくある3つの特徴について解説します。

立地が悪い

不動産の売却において、最も重要な要素の一つが立地です。駅から徒歩圏内でない、バス停や電車の本数も少ないなど交通の便が悪い、近くにスーパーや病院などのインフラ環境が遠いといった場所にある実家は、敬遠されがちです。

 交通やインフラ環境以外にも、盆地にあったり、地盤が悪いなど、災害リスクが高いエリアにある場合も、購入を躊躇される大きな要因となります。

築年数が古い

建物の築年数が経過していることも、売れない大きな要因です。特に1981年5月以前に建てられた「旧耐震基準」の家は、現在の耐震基準を満たしていない可能性が高く、大地震への不安から避けられる傾向にあります。

また、築年数が古い家は、断熱性が低い、水回りの設備が古い、シロアリ被害があるなど、住むためには大規模なリフォームが必要になるケースも多いです。築年数が経過し、購入費用とは別に高額なリフォーム費用がかかることが予想されるような物件は、買い手からも避けられてしまいます。

価格が高い

物件の売り出し価格が、近隣の相場よりも高く設定されている場合も、売れにくい原因となります。購入時の価格を参考にしたり、自身の希望する価格を設定するなど、不動産取引に慣れていない場合は、相場から離れた価格を設定してしまうケースは少なくありません。 

不動産は一般的に高額な買い物となるため、買い手は近隣の相場価格を調べるなど、周囲の物件と比較して購買するかどうかを判断します。立地などの条件がいいにも関わらず、問い合わせすら来ないという場合は、まず適正価格を見極めることが重要です。

売れない実家を売却するためのポイントとは

売れない実家を売却するためのポイントとは

実家がなかなか売れないという場合でも、ちょっとしたポイントを見直すだけで、売却の可能性は大きくあがります。ここでは、成約につなげるための具体的なポイントを3つご紹介します。実家がなかなか売れずに困っているという方は、紹介するポイントを確認してみてください。

販売価格を見直す

最も即効性があり効果的な方法は、販売価格の見直しです。近隣の類似物件の売り出し価格や、過去の成約事例を調べ、現在の価格設定が相場と比べて適正かどうかを確認しましょう。もし相場より高い場合は、思い切って値下げも検討しましょう。 価格を下げたうえで再度周知することで、これまで検討していなかった層にアピールできる可能性があります。

不動産会社を変更する

物件がなかなか売れない場合は、依頼している不動産会社を変更するのも一つの手です。不動産会社によって、戸建てが得意、マンションが得意、あるいは特定のエリアに強いといった特徴があります。

不動産会社によっても、営業活動などの方法も大きく異なります。もし不動産会社の販売に疑問がある場合は、変更も検討してみましょう。

リフォームをする

築年数の経過などで古くなっている、消耗が激しく内装が汚いといった場合は、リフォームを行うことも検討しましょう。壁紙の張り替えやハウスクリーニングを行うだけでも、室内が明るくなり、清潔感が増して好印象を与えられます。

ただし、高額なフルリフォームをしても売れない可能性があります。リフォームを行う際は、事前に不動産会社と費用対効果をよく相談してから実施することをおすすめします。

実家の売却にかかる費用は

実家の売却にかかる費用は

実家を売却して現金化できたとしても、その全額が手元に残るわけではありません。売却には様々な費用や税金がかかります。ここでは、売却時にかかる主な費用について解説します。

手続き費用

不動産の売買契約は、様々な手続き費用が発生します。売却手続きにおいて必ず必要なのが、所有権移転に伴う登記費用です。登記費用は、固定資産税評価額+所定の税率となります。また司法書士等に依頼した場合には、その報酬も必要となります。

不動産会社に仲介を依頼している場合は、売買契約が成立した際の仲介手数料の支払いや、契約書に貼る印紙代もかかってきます。実家を売却する際は、こういった手続き費用も考えた上で、価格設定を行うようにしましょう。

税金

実家を売却して利益が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税(所得税+住民税)」が課税されます。一般的に、税率は、所有期間が5年を超えるか(長期譲渡所得)、5年以下か(短期譲渡所得)によって異なります。 

また、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例など、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。税金については、状況によって大きく変動するため、税理士等の専門家に相談しましょう。

修繕・リフォーム費用

売却にあたって建物の修繕やリフォームを行う場合は、その費用も考慮しなければなりません。特に水回りなどが故障している場合は、修繕後でないと売却は難しいでしょう。

修繕費用は場合によっては数百万単位にのぼることもあるため、まずは見積もりを出してもらい予測を立てるようにしましょう。

売れない実家の放置は危険?考えられるリスクとは

売れない実家の放置は危険?考えられるリスクとは

実家を売ろうと思っても売却できなかったという場合、実家をそのまま放置してしまうのは実は非常に危険です。実は不動産を放置しておくことは、金銭面や対人トラブル、犯罪などを引き起こすリスクを高めてしまいます。ここでは、実家の放置で起こる可能性があるリスクについて解説します。

税金や損害賠償

不動産は、所有しているだけで毎年「固定資産税」や「都市計画税」がかかり続けます。さらに、管理不全により「特定空き家」に指定されると、固定資産税の軽減措置が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性もあります。

 また、老朽化した家屋が倒壊したり、屋根瓦や外壁が落下して通行人に怪我をさせたりした場合、所有者は管理責任を問われ、多額の損害賠償請求を受けるリスクがあります。

対人関係のトラブル

管理が行き届いていない空き家は、近隣住民とのトラブルの原因になります。庭木や雑草が伸びて隣の敷地に侵入してトラブルになる、害虫や害獣の発生源となり、悪臭や衛生面で近隣からのクレームをいれられる可能性もあります。

また、空き家がそのまま子や孫へと相続されてしまうと、親族同士で不要な家の押し付け合いに発展する可能性もあります。

犯罪に利用される

人の気配がない空き家は、犯罪者にとって格好のターゲットとなり得ます。空き巣に入られ盗難被害にあう、窓ガラスを割られたり、落書きをされるといった被害に遭う可能性があります。

その他にも不法投棄の標的にされる、放火されるなど犯罪にあうリスクが高まります。最悪の場合、知らない間に犯罪現場に利用されてしまい、警察から事情聴取を受けるといった自体になることも考えられます。

売れない実家に使えるおすすめの処分方法とは?

売れない実家に使えるおすすめの処分方法とは?

不動産会社に依頼をしても実家が売れなかった場合、実家の処分をどうやって行えばいいのかと戸惑ってしまう方も多いと思います。不動産の知識がない方にとっては、不動産会社に断られてしまった実家を処分することは困難です。そこでここでは、いらなくなった実家を処分する場合に使える対処方法をご紹介します。

空き家バンクに登録する

空き家バンクは、自治体が運営する、空き家を「売りたい・貸したい人」と「買いたい・借りたい人」をマッチングさせる制度です。空き家バンクを利用すれば、不動産会社では売却できなかった家でも売却や賃貸に活用できる可能性があります。

ただし、自治体によっては空き家バンクがなかったり、自治体の発信力が弱いと売り手まで情報が届かない可能性がある点に注意しましょう。

自治体や法人に寄付

いらない実家は、自治体や公益法人などに実家を寄付し、処分する方法もあります。寄付ができれば、不要な実家を無償で処分することができます。法人では、学校法人や医療法人、NPO法人などが寄付を受け付けています。

自治体などへの寄付は利用価値がある不動産でなければ断られてしまうこともあるため、まずは最寄りの役所等に相談してみましょう。

相続土地国庫帰属制度

2023年4月から始まった相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、有償で国が引き取ってくれる制度です。相続土地国庫帰属制度を利用することができれば、必要な財産を相続しながら、不要な不動産のみを処分できます。ただし、対象となる土地に建物がないなどの条件があります。

また利用には審査手数料と負担金が必要となります。審査手数料は、審査後に不承認となってしまっても返金されないため、まずは実家が対象となるかを最寄りの法務局等に相談してみましょう。

有料引取サービスの利用

不動産会社でも売れず、寄付や相続土地国庫帰属制度でも処分が難しい場合は、不動産の「有料引取サービス」を利用する方法があります。有料引き取りサービスでは、不要な不動産の処分についての知識やノウハウをもった業者が対応してくれるため、他の方法では引き取って貰えなかった不動産でも処分できる可能性があります。

利用は有料となる場合もありますが、不動産を所有し固定資産税を払い続けたり、維持・管理の手間を考えれば、できるだけ早く手放してしまうことをおすすめします。不要な不動産に困っているという方は、まずは一度無料相談だけでもしてみることをおすすめします。

マッチングサイトへ登録

最近では、不動産の売買にマッチングサイトを利用する方も増えています。マッチングサイトは、不動産を売りたい人と買いたい人をつなげてくれるプラットフォームです。不動産会社の査定では価値がつかなかった物件でも、一般の利用者のニッチなニーズとマッチングする可能性があります。

多少時間をかけても、希望の価格で売却したいという方は、ぜひマッチングサービスを利用してみるといいでしょう。

まとめ

売れない実家を持ち続けることは、経済的・精神的な負担だけでなく、将来的なリスクを抱え込むことになります。 実家を処分して余計な負担から解放されたいという方は、ぜひ本記事の情報を参考にしてみてください。

監修者 監修者

株式会社KLC 代表 小林 弘典

幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。

不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。

  • 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
  • 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
  • 立命館大学経済学部 客員講師
  • 不動産有料引取業協議会 代表理事

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