相続負動産の教科書

土地を無償譲渡する手続きとは?損をしないための注意点や流れを解説!
相続負動産のキホン

土地を無償譲渡する手続きとは?損をしないための注意点や流れを解説!

相続などで不動産を所有した際に、賃貸での活用や売却もできない土地を手にすることがあります。このような場合、固定資産税や維持管理の手間がかかるため「無償でもいいから手放したい」と考える方も少なくありません。

しかし、無償であっても不動産を譲渡することは簡単ではありません。不動産の取引は、登記手続きが必要だったり、無償譲渡であっても状況によっては税金が発生します。そこで本記事では、土地を無償譲渡する際の手続きや損をしないための注意点、無償譲渡できなかった場合の処分方法について解説します。

無料査定申込はこちら

土地の無償譲渡とは?通常の取引との違いは?

土地の無償譲渡とは?通常の取引との違いは?

土地の無償譲渡とは、土地の所有権を無償で他者に譲り渡すことです。これは、法律上の「贈与」という形態の取引となり、法律にそって手続きを進める必要があります。また通常の物品の売買と違い、不動産は所有権移転のための登記手続きが必要となります。

このように、不動産取引は通常の取引とは異なる点があるため、トラブルや無駄な出費を避けるためにも、土地の無償譲渡における手続き方法や注意点を把握したうえで行うようにしましょう。

土地を無償譲渡する場合の手続きとは

土地を無償譲渡する場合の手続きとは

無償譲渡であっても、しっかりと手続きを踏まないと後々のクレームやトラブルになる可能性があります。ここでは、無償譲渡を安全に行うための基本的な手続きや流れについて解説します。

土地の調査

無償譲渡を行う際は、対象となる土地の状況を正確に把握するための調査を行いましょう。具体的には、法務局で登記事項証明書を取得し、抵当権の有無や土地に関わる権利関係を確認する、公図で土地の形状を確認するなど、土地に関係する書類を調査します。

また、実際に現地にいって土地の状態を確認しましょう。現地調査では、土地に建物はあるか、その他残置物は有るか、隣地との境界はどうなっているかなどを確認し、無償譲渡する際に必要な情報を把握しておきます。

贈与契約書の作成

現地調査が終わったら、調査結果に基づいて契約書を作成しましょう。契約書には、譲渡する土地の情報(所在地や面積、地番など)、譲渡の時期や方法、もし土地に瑕疵があった場合にどうするのかなど、取引に必要な条件を記載します。

契約書の作成には、専門的な知識が必要なため、弁護士等の専門家に相談することを検討しましょう。

所有権移転登記

契約書を作成し、お互いに合意がとれたら、次は所有権移転登記を行います。これは、土地の名義を現在の所有者から新しい所有者に変更するための手続きです。登記申請は法務局で行います。

登記手続きは自分で行うことも可能ですが、書類の作成や法務局とのやり取りは複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。また、登記には登録免許税(固定資産税評価額 × 2.0%)が必要となります。

税金の支払い

無償譲渡の場合でも、税金の申告と納付が必要になる場合があります。一般的には、土地を受け取った側には「贈与税」や「不動産取得税」が課される可能性があります。

譲渡した側には原則として税金はかかりませんが、譲渡先が法人である場合は「みなし譲渡所得」として課税されるケースがあります。税金は、土地の評価額や譲渡先によって大きく異なるため、税理士等の専門家に相談しましょう。

無償譲渡における税金とは

無償譲渡における税金とは

無償譲渡の際に把握しておきたいのが、税金の有無です。仮に譲渡する側に税金がかかっていなくても、譲渡された側に税金が発生する場合、事前の合意や説明がないと苦情につながる可能性があります。また、税金は個人や法人によっても異なります。一般的に税金が発生するのは次のようなパターンです。

形態贈与者受贈者
個人から個人非課税贈与税
個人から法人所得税法人税
法人から個人法人税所得税
法人から法人法人税法人税

税金は、譲渡先と譲渡元が個人なのか法人なのか、また土地の状況によっても変化するため、税理士等の専門家に相談しておくことをお勧めします。

土地を無償譲渡する場合の注意点とは

土地を無償譲渡する場合の注意点とは

無償譲渡の場合であっても、土地の取引には注意が必要です。通常のサービスと違い、不動産は登記手続きが必要だったり、一度所有権を移転すると、簡単に変更できないなど、様々な違いがあります。ここでは、土地を無償譲渡する場合に、よくあるトラブルを防止するための注意点を解説します。

契約書を作成する

無償譲渡の場合でも、必ず契約書は作成しましょう。契約書を作成しておかないと、土地の引き渡し後に残置物や瑕疵が見つかった場合に損害賠償を請求されたり、契約が無効になるなど、様々なトラブルが起こる可能性があります。

無償譲渡だからといって、口約束だけで進めてしまうことは大変危険です。トラブルになりそうな項目は契約書に記載し、お互いに合意のうえで取引を進めるようにしましょう。

税金が発生する可能性

無償譲渡であっても、税金が発生する可能性を把握しておきましょう。無償譲渡する場合は、ただでもいいから土地を手放したい、という方も多いと思います。しかし、譲渡される側に税金が発生することを知らずに取引が進んだ場合、取引を白紙にされてしまったり、苦情につながる可能性があります。

無事に取引を完了するためにも、税金については事前に調査を行ったうえで進めるようにしましょう。

譲渡先が見つからない可能性

無償譲渡を希望しても、必ずしも譲渡先が見つかるとは限りません。無償譲渡を考えるような土地の場合は、その他の多くの人にとっても活用が難しいものとなることが考えられます。

賃貸等にも出せない田舎の土地だったり、山林、農地など用途が限定されている土地は、無償でも引き取り手が現れないということも珍しくありません。もし譲渡先が見つからない場合は、無償譲渡以外の処分方法を検討しましょう。

不要な土地の放置は危険?無償譲渡をした方がいい理由とは?

不要な土地の放置は危険?無償譲渡をした方がいい理由とは?

無償譲渡の対象となる土地の場合、活用や売却もできず、資産価値がない土地であるケースも少なくありません。こういった収益が見込めない土地を、時間やお金をかけて管理しておこうという方は少ないでしょう。しかし、土地を放置していると、金銭面や対人関係で様々なリスクが発生する可能性があります。ここでは、土地の放置で起こる具体的なリスクについて紹介します。

金銭面での負担が発生する

土地を所有すると、収益がなくても金銭面の負担が発生します。たとえば、固定資産税や都市計画税の支払い義務は土地を所有している限り続きます。

また、土地の庭木が伸びて隣地に侵入する、外壁が崩れて通行人に被害を与えるなど、所有している土地の管理不足が原因で損害を与えた場合は、損害賠償を請求される可能性があります。

対人トラブルの原因になる

管理が行き届いていない土地は、対人トラブルの原因となります。土地の管理不足により、雑草や樹木が害虫や獣害の原因となってしまい、近隣住民から苦情を入れられたり、土地が荒れて隣地との境界が曖昧になり、土地の境界を巡ってトラブルになる可能性があります。

その他にも、不要な土地が処分されないまま相続された場合、家族や親族同士で不要な土地の押し付け合いになってしまうことも考えられます。

犯罪に巻き込まれる

土地を放置した場合、その土地が犯罪の温床になってしまうリスクがあります。管理されていないとみなされた土地は、不法投棄の対象にされ産業廃棄物などを投棄されてしまうリスクが高まります。

また、空き巣被害にあったり、放火される、不法侵入されるなど、様々な犯罪に巻き込まれる可能性があります。最悪の場合、知らないうちに犯罪現場として利用され、警察から聴取を受けるといった事態に発展する可能性もあります。

無償譲渡できない土地に使えるおすすめの処分方法5選

無償譲渡できない土地に使えるおすすめの処分方法5選

収益性がなく、資産価値がない土地の場合、無償譲渡を検討しても、譲渡先が見つからない可能性があります。もし土地を譲渡できなかった場合、税金の支払い義務や維持・管理の責任を負い続けることになります。ここでは、そういった場合に無償譲渡できない土地にも使える処分方法を紹介します。

相続放棄をする

不要な土地が相続財産に含まれる場合は、相続放棄を検討しましょう。相続放棄をすることで、税金の支払い義務や土地の維持・管理義務から逃れることができます。ただし、相続放棄は一部の財産のみを放棄の対象とすることができません。

そのため、相続放棄をする前に財産の調査を行い、預金や有価証券がどのくらいあるのかなどを把握したうえで検討するようにしましょう。不要な土地以外にも多くの資産がある場合は、相続後に土地の処分をするといった判断が必要です。

自治体に寄付

不要な土地の処分方法として、自治体に寄付する方法もあります。寄付を受け入れてもらうことができれば、不要な土地を無償で手放すことができます。

ただし、すべての自治体が寄付を受け入れているわけではありません。また自治体が寄付を受け付けるのは、自治体が活用可能な土地に限られます。寄付を検討する場合は、まずは最寄りの市役所などに相談してみましょう。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を国に有償で引き取ってもらうことができる制度です。相続、または遺贈によって手にした土地が対象で、相続土地国庫帰属制度を使えば、必要な財産は相続しながら、不要な土地のみを引き取ってもらうことができます。

注意点として、利用できる土地には条件があること、また利用にあたって審査手数料や負担金など費用が必要となります。審査手数料は、審査後不承認となっても返金されないため、最寄りの法務局等に事前に相談のうえ、利用することをおすすめします。

引き取り業者へ依頼

寄付や相続土地国庫帰属制度といった方法で処分が難しい場合は、専門の引き取り業者への依頼を検討しましょう。引き取り業者は、土地活用のノウハウや独自の処分ルートをもっているため、他の方法では処分できなかった土地であっても引き取ってもらえる可能性があります。

引き取りは有償となる可能性もありますが、税金の負担や土地の管理責任を負い続けることを考えれば、有償でも手放した方が得をするケースがほとんどです。不要な土地に困っているという方は、まずは無料相談を検討してみましょう。

マッチングサービスの利用

最近では、不動産取引にマッチングサービスを使うという方も増えています。マッチングサービスは、土地を買いたい人と土地を売りたい人をつなぐプラットフォームです。マッチングサービスを使うことで、通常の不動産取引では届かなかったニッチな需要をもった人達にアプローチできるため、他の方法では譲渡できなかった土地でも引き受け手が見つかる可能性があります。

マッチングサービスは、取引に関心が高い人が集まっているため、申し込みからの成約率が高いといった特徴があります。土地の処分にお困りの方は、まずは登録だけでも試してみることをおすすめします。

まとめ

本記事では、土地を無償譲渡する際の手続きや注意点、その他の処分方法について解説しました。土地の無償譲渡は、税金や維持・管理の手間から解放される有効な手段ですが、契約書の作成や税金の確認など、トラブルなくすすめるためのポイントを抑えておく必要があります。また、譲渡できなかった場合は、他の方法での処分が必要です。不要な土地に困っているという方は、ぜひ本記事を参考にしてみて下さい。

監修者 監修者

株式会社KLC 代表 小林 弘典

幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。

不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。

  • 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
  • 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
  • 立命館大学経済学部 客員講師
  • 不動産有料引取業協議会 代表理事

この記事が気に入ったらシェア

  1. line
  2. x
  3. facebook

関連記事

売れない土地を売れるようにする方法は?土地売却のポイントや対処法
相続負動産のキホン

売れない土地を売れるようにする方法は?土地売却のポイントや対処法

相続負動産のキホン

不要な不動産でも固定資産税の支払いが永遠に続く?払えない場合の対処方法とは

遊休地
相続負動産のキホン

遊休地を活用できなかったらどうする?いらない遊休地の処分方法5選

田舎の家が売れなくて困っている時に使える対処方法とは?放置は危険?
相続負動産のキホン

田舎の家が売れなくて困っている時に使える対処方法とは?放置は危険?

新着記事

土地が売れない6つの理由!売れない土地を手放すための解決策とは
相続負動産のキホン

土地が売れない6つの理由!売れない土地を手放すための解決策とは

いらない別荘を相続したらどうする?不要な別荘を処分できる方法とは
相続負動産のキホン

いらない別荘を相続したらどうする?不要な別荘を処分できる方法とは

売れない実家の処分方法とは!?放置のリスクや処分のポイントを解説
空き家の処分方法

売れない実家の処分方法とは!?放置のリスクや処分のポイントを解説

売れない田舎の土地を処分するおすすめの方法とは?放置は危険!?
相続負動産のキホン

売れない田舎の土地を処分するおすすめの方法とは?放置は危険!?