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不動産の有料引き取りとは?詐欺やトラブルを回避する方法を専門家が解説
相続負動産のキホン

不動産の有料引き取りとは?詐欺やトラブルを回避する方法を専門家が解説

相続などで不動産を所有することになった場合、田舎で利便性が悪かったり、傾斜があるなど建物をたてるのが難しい土地を所有することになり、売却や処分ができず困ってしまうことがあります。

固定資産税や維持管理の負担を考えれば、そういった不動産は有料でも引き取ってもらった方が得となります。そんな時におすすめしたいのが、不動産有料引き取りサービスです。本記事では不動産有料引き取りサービスの概要や利用の際の注意点など、不動産有料引き取りサービスを利用する際に役立つ情報を紹介いたします。

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不動産の有料引き取りサービスとは

不動産の有料引き取りサービスとは

不動産の有料引き取りサービスは、売却できない、活用できないとった不要な不動産を有料で引き取ってくれるサービスです。もし相続等で不要な不動産を所有することになってしまった場合でも、有料引き取りサービスを使うことで、引き取って貰える可能性があります。

有料引き取りサービスが出来た背景とは

不動産の有料引き取りサービスができた背景には、活用できず売却もできない不動産の増加があげられます。不動産は、売ったり貸したり、活用ができるものといったイメージが強いかもしれません。しかし、田舎の山林や農地、老朽化した空き家など、活用が難しい土地を所有することになった場合、不動産屋にも売却できず、不要な土地を所有することになり困っているという方も少なくありません。

こういった活用できない不動産の増加は、国も社会問題として認知しており、2023年度からは、有償で土地を引き取る相続土地国庫帰属制度を開始するなど、対策がとられています。しかし、相続土地国庫帰属制度も利用は条件が厳しく、不動産を手放せなくて困っているといった方は増加しており、不動産引き取りサービスへのニーズが高まっています。

ただし、不動産引き取りサービスは、不動産取引のなかでも比較的新しい形態で、法整備等がされておらず、なかには詐欺的な行為を行う業者も存在しているため、注意が必要です。

不動産を処分した方がいい理由とは?放置していると起こるリスクとは

不動産を処分した方がいい理由とは?放置していると起こるリスクとは

不要な不動産を処分したいと考えていても、面倒だからとついつい先延ばしにしているという方も多いかもしれません。しかし、不動産を放置していると、様々なリスクが発生する可能性があります。

税金、損害賠償

不動産の放置は、税金の支払いや損害賠償のリスクを負う可能性があります。収益を生まない不動産であっても、固定資産税は土地を所有している限り支払い続ける必要があります。また、定期的な維持・管理を費用や時間をかけて行う必要があります。維持・管理を怠ると、庭木が道路にはみ出して事故の原因となったり、建物や樹木等が倒壊して通行人に被害を与えてしまい、損害賠償を請求されるリスクが高まります。

対人関係のトラブル

不動産を処分せずにいると、様々な対人トラブルを発生させる可能性があります。たとえば、土地を放置することで雑草や樹木等が害虫や獣害の原因になり、近隣住民からの苦情が生じる可能性があります。その他にも、隣地との境界が曖昧になって土地の所有を巡ってトラブルになるといったリスクもあります。また、土地を処分できないままに相続されてしまうと、不要な土地の管理を巡って子や孫の間で土地の押し付け合いに発展する可能性があります。

犯罪に巻き込まれる

不動産を放置していると、犯罪に巻き込まれる可能性があります。たとえば、放置されていると認識された土地は、不法投棄の標的とされてしまいます。他にも、放火や不審火にあったり、空巣に入られるなど、様々な犯罪発生のリスクが高まります。最悪の場合、知らないうちに犯罪現場に使われ、事件に巻き込まれてしまうといった状況も考えられます。

不動産有料引き取りサービスを利用する際の注意点とは

不動産有料引き取りサービスを利用する際の注意点とは

不動産有料引き取りサービスは、宅地建物取引業のような免許がなくても始められるため、参入障壁が低く、なかには不誠実な対応をする業者も存在します。ここでは、不動産の有料引き取りサービスを使う際に注意するべきポイントをお伝えします。

他の詐欺に誘導されていないかどうか

有料引き取りサービスを利用する場合、他の詐欺に誘導されていないか注意しましょう。大半の業者は健全であるものの、ごく一部の業者では、話を聞くふりをして、原野商法といった別の投資詐欺に誘導するような業者もいます。こうした業者は、不要な不動産の処理に困っているユーザーの弱みにつけこみ、言葉巧みに誘導してきます。

法人が存在しているか

引き取りサービスを利用する場合は、法人が実際に存在しているかをしっかり確認しましょう。会社のホームページはあるか、登記はされているか、事務所はあるかなど、法人情報をチェックするようにしましょう。尚、宅地建物取引業免許を持っている不動産会社である場合には、行政の厳しい審査を通過しているため、安全性を見るうえでの一つの指標になりえます。

また、後ろめたいことをしていると認識している業者は、顔写真等を出さずに、実態を伏せがちです。その点で、法人の代表者やスタッフが顔写真等を出している業者も、一つの目安にできると思います。ここに上げたようなポイントを満たしていない業者が、すべて危険な業者といったことはありませんが、判断基準として参考にしていただければと思います。

契約書に不審な点はないか

引き取りサービスを使う場合は、契約直前ではなく、なるべく早めに契約書の内容をしっかりと確認しましょう。不誠実な業者の中には、事前に説明のなかった使途不明な料金を請求してくる業者もいます。契約内容の中で不審な点はないか、こちらに不利な契約になっていないかなど、しっかりと全てに目を通す事が重要です。場合によっては、司法書士や弁護士等専門家にセカンドオピニオンや契約書のチェックを依頼すれば、より安心です

安全な有料引き取りサービスを見分けるポイントは

安全な有料引き取りサービスを見分けるポイントは

不動産の知識がないユーザーにとって、有料引き取りサービス業者が信頼できる業者かどうかを判断することは難しいです。ここでは、有料引き取りサービスを安全に利用するためのポイントをお伝えします。

取引実績がある

安全な業者かどうかを判断するためには、まず取引実績があるかどうかを確認するようにしましょう。取引実績を公表していない業者は、実際には取引を行っていない可能性があります。利用したユーザーの体験談が掲載してあるかなどをホームページなどで調べることが大切です。

会社情報や代表者の経歴がしっかりしている

引き取り業者が安全かどうかを判断する場合、会社情報や代表者の経歴をしっかりと確認することが重要です。会社の設立年数や資本金、メディア掲載実績、不動産関連の免許や資格があるのかなどを調査しましょう。また代表者の名前で検索してみるといった確認も有効です。

引取り後の維持管理のノウハウがある

引き取り業者を選ぶ際は、引き取り後の維持管理についてのノウハウや実績があるかを確認しましょう。不誠実な業者の中には、料金だけを支払わせて、名義も移転せずに蒸発するような悪徳業者や、名義は移転するものの、引き取った土地の維持管理を全く行わないことで、結果的に近隣から前所有者である依頼者へ苦情がいってしまうようなケースも耳にします。

引き取り業者が倒産した場合、前所有者に責任を追及される可能性がある!?

引き取りサービスを利用するにあたり、不動産を引き取った業者が倒産したら、前所有者に責任を追及されるのかといった声が多く聞かれます。
しかし、通常は責任を追及されることはありません。所有者が変わったのであれば、その土地の維持・管理の責任は所有者のものとなります。

もし仮に引き取り業者が倒産した場合は、弁護士などの破産管財人等が選任され、その管財人等が”暫定的な所有者”として所有財産の管理責任を負っていくことが一般的です。そのため、引き取り業者の倒産などにより、所有者名義が前所有者に戻ったり責任が及ぶ可能性は、一般的には考えられません。

尚、昨今では、静岡県熱海市において大規模な土砂災害があり、その災害には人為的過失があったものとして、当時の所有者のみならず、前所有者にも、その責任が追及されました。
しかし本件は、「前所有者の盛土工事に違法性があった可能性がある」ことに対する追及であり、「前所有者であったこと」自体の責任を追及されたものではありません。

以上の点からも、前所有者自身に不法行為等がない限り、一般的には前所有者に対して責任が及ぶ可能性は無いものと考えられます。

不動産有料引き取りサービスは危険?安全な業者はある?

不動産有料引き取りサービスは危険?安全な業者はある?

不動産の有料引き取りサービスの利用にあたり、ネガティブなイメージがあり、なかなか利用に踏み切れないといった声も聞かれますが、しっかりとサービス提供企業のことを調べ、契約書などを確認していけば基本的に心配はありません。

また、本記事の監修者である小林弘典氏が代表を務める株式会社KLCでも不動産の有料引き取りサービスを提供しています。
株式会社KLCはこれまでに4000件以上の相談実績もあり、全国の自治体との連携や、内閣府PPP/PFI民間実務専門家登録、総務省の経営・財務マネジメント強化事業アドバイザーなどを務めながら、これまで数多くの物件を引き取ってきました。
不要な不動産の処分を検討している場合は、まずは無料相談からお気軽にお声掛けくださいませ。

まとめ

本記事では、有料引き取りサービスの概要や利用の注意点、安全に利用するためのポイントなどをお伝えしました。有料引き取りサービスの利用を検討していて、信頼できる業者を探しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

監修者 監修者

株式会社KLC 代表 小林 弘典

幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。

不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。

  • 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
  • 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
  • 立命館大学経済学部 客員講師
  • 不動産有料引取業協議会 代表理事

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