原野商法は、1960年代から80年代にかけて流行した、無価値な土地を売りつける悪徳商法です。原野商法でいらない土地をもってしまった、または原野商法で取得した土地を相続して困っているという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、原野商法により不要な土地を所有しているという方に向けて、土地の処分方法や二次被害の防止方法などを解説しています。原野商法に関わる土地の問題で困っているという方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
原野商法とは
原野商法とは、値上がりの見込みがない山林や原野といった価値がない土地を、高額で売りつける悪徳商法です。1960年代から1980年代にかけて流行し、開発計画があるから値上がりすると虚偽の事実で勧誘をする、実際の土地とは全く別の土地を案内するなど、詐欺まがいの手口や、強引な勧誘を行うといった手法が横行し、社会問題となりました。
原野商法の二次被害は?狙われてしまう可能性はある?
最近では、原野商法の二次被害も問題になっています。原野商法の二次被害とは、原野商法の被害にあってしまった方のリストを元に、原野商法の損害を取り戻しましょうといった話を持ちかけたり、別の投資話を勧誘し、さらなる詐欺を狙った手口のことです。
人の弱みにつけこんだ悪質な手法で、被害者の方の中には、損を取り戻したいといった理由で二次被害に遭ってしまったという報告もあがっており、政府からも注意喚起が行われています。
参考:政府広報オンライン「原野商法」再燃!「土地を買い取ります」などの勧誘に要注意
原野商法の被害を防ぐには
原野商法の被害に遭わないためにも、詐欺の手口を知っておきましょう。原野商法の詐欺被害では、契約して入金をしたあと、業者と連絡がつかなくなるケースが多発しています。そのため、まずは安易に契約を結ばないことが重要です。
原野商法で案内されるような土地は、高値で売却できる可能性は低いです。もし原野を高値で購入したいという話が持ち上がったとしても、騙されないように注意しましょう。少しでも怪しいと思ったら、すぐに身近な方に相談することが大切です。
詐欺業者は、周りと連絡をとらせないように「あなただけ特別に」といった言葉を使うことがありますが、必ず周りに相談してください。とにかく1人で決めないことが大切です。
原野商法の土地だけを相続放棄することは可能?
原野商法の土地を相続するかもしれない、という方の中には、土地だけを相続放棄できないかと考える方も多いことでしょう。しかし、相続の際に土地のみを放棄することはできません。
たとえ詐欺で取得することになってしまった土地であっても、相続放棄をする場合は、現預金等も含め、全ての財産を放棄する必要があります。
原野商法の土地に相続土地国庫帰属制度は適用できる?
原野商法の土地を相続することになり困っている、そんな時に使えるのが相続土地国庫帰属制度です。相続土地国庫帰属制度は、有償で国に不要な土地を引き取ってもらうことができる制度です。
原野商法で取得した土地であっても、制度を利用することができます。注意点として、制度で引き取ってもらえる土地には条件があるため、原野商法で取得した土地の場合は、土地が荒れていたり、管理することが難しい土地が多く、条件にあてはまらない可能性があります。
審査の際に発生する審査手数料は、例え不承認となっても返還されないため、制度の利用を検討する場合は、法務局や専門家の方に相談するようにしましょう。
原野商法の土地を放棄する方法とは
原野商法に利用されるような収益価値がない土地は、所持しているだけで税金が発生したり、維持、管理義務を負うなど、大きな負担となります。
しかし処分したくても方法がわからないという方も多いことでしょう。ここでは、原野商法で取得することになってしまった土地をできるだけ簡単に処分する方法を紹介します。
不動産会社に依頼する
不要な土地を処分する際は、不動産会社への依頼をまず検討しましょう。不動産会社へ依頼する場合、処分方法は会社に直接買い取ってもらう買取と、買い手を探してもらう仲介があります。
原野商法の対象となるような土地の場合は、なかなか買い手がみつからないといった可能性もありますが、まずは相談してみることをおすすめします。
自治体に寄付
いらない土地の処分方法には、自治体に寄付をするという方法もあります。収益価値がない土地の場合、無償では処分できず、有償で引き取りが必要になるケースもありますが、自治体への寄付は無償で土地を引き取ってもらえる可能性があります。
ただし、自治体への寄付は管理が容易な土地や、活用できるものでないと難しい場合があります。そもそも寄付を受け付けていない自治体もあるため、最寄りの役所等にまず相談してみましょう。
相続放棄をする
原野商法の土地を相続しそうになって困っている場合は、相続放棄することも選択肢として考えましょう。不要な土地を相続すると、税金の支払い義務や、土地の維持・管理義務が発生し、大きな負担となります。
注意点として、相続放棄をする場合は、土地のみを相続放棄することができないため、相続した後に土地を処分した場合とどちらが得かを検討することが大切です。
マッチングサービスを使う
不要な土地の処分方法として、マッチングサービスを利用するという手段もあります。マッチングサービスは、全国どこからでも登録でき、原野商法で取得した土地であっても、自分の好きな価格で売却することができます。また、マッチングサービスは土地の売買に関心が高い人が集まっており、成約率が高いという特徴もあります。
マッチングサービスの利用は、サービスによっては手数料がかかる、すぐに取り引きが成立しない可能性がある点に注意しましょう。
引き取りサービスの利用
不動産引き取りサービスは、不要な土地の引き取りに最適なサービスです。原野商法で扱われる土地は、立地が悪く資産価値がなかったり、土地が荒れ果てているなど、活用が難しく、通常の方法では処分が難しい場合がほとんどです。
その点、引き取りサービスであれば、通常は引き取ってもらうことが困難な土地であっても、引き取りサービスの利用は有料になる可能性がありますが、反面、手間なく確実に引き取ってもらうことができます。
まとめ
今回は、原野商法で入手した土地の放棄方法について紹介しました。残念なことに、原野商法の二次被害についての報道が増えています。投資の勧誘等には注意し、もし誘われても必ず第三者に相談するようにしましょう。また、原野商法で入手した土地に悩まされているという方は、ぜひ本記事を参考にして処分等を検討してみてください。