
田舎の家が売れなくて困っている時に使える対処方法とは?放置は危険?
田舎の家を相続等で所有することになったものの、買い手が見つからずにお困りではないでしょうか。資産価値がなく収益を生まない不動産は、所有しているだけで税金や維持・管理の負担が発生するため、できるだけ早く手放したいものです。
しかし、田舎の家は需要が少なく、売却が難しいケースも少なくありません。 本記事では、田舎の家が売れない理由や売却するためのポイント、放置するリスクやどうしても売れない場合の対処方法を詳しく解説します。田舎の家の処分に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
田舎の家が売れない理由とは

田舎の家は、都市部の物件と比べて売れにくい場合があります。たとえば、人口が少なく必然的に賃貸需要も都会と比べて少ないなど、田舎特有の理由が存在します。ここでは、田舎の家が売れにくい理由について紹介していきます。
需要がない
田舎の家が売れない最も大きな理由は、買い手の需要が少ないことです。人口減少や高齢化が進む地域では、新たに家を購入したいというニーズが限られています。また、商業施設や医療機関、公共交通機関が少ないなど、娯楽やインフラといった資源が不足しており、居住地として選択肢に入りにくい現状があります。田舎の家は、こういった要因が複合的に絡み合い、需要が低くなりがちです。
維持・管理のコストが高い
建物の維持・管理に多額のコストがかかることも、田舎の家が売れにくい理由の一つです。老朽化した物件は、雨漏りやシロアリ被害、構造部分の腐食など、老朽化が進んでいるケースも少なくありません。購入後に快適に住むためには、大規模なリフォームや修繕が必要となり、数百万円単位の費用がかかることもあります。また、田舎の家は面積が広い傾向がありますが、その分維持、管理の手間もかかります。田舎の家は、金銭的、時間的な負担が懸念材料となり、購入を敬遠されがちです。
不動産会社の数が少ない
田舎では、都市部に比べて不動産会社の数自体が少ない傾向にあります。そのため、買主を見つけるための販売活動や営業活動を行っても、認知が広がらず、買い手がみつかりずらい傾向があります。また、田舎の家は、全体的に価格が低い傾向があり、不動産会社の仲介手数料も安くなりがちなため、営業活動に力をいれてもらえず、売れずらくなる傾向があります。
田舎の家を売るためのポイント3選

買い手がつきにくい田舎の家でも、ポイントを押さえることで売却の可能性を高めることができます。ここでは、田舎の家を売れやすくするためのポイントを3つ紹介します。
リフォームする
物件を売りに出しても反応が悪い場合は、リフォームを検討しましょう。家が老朽化している場合は、リフォームによって買い手の購買意欲を高めることができます。
壁紙の張り替えや床の補修といった内装のリフォームは、比較的低コストで高い効果を発揮してくれるのでおすすめです。また、キッチンや浴室、トイレといった水回りは、使用感が表れやすく、清潔感が重視される部分のため、状況に応じてリフォームするかどうかを検討しましょう。不動産の知識がない場合は、不動産会社と相談しながら、売却につながるリフォームがどこかを見極めて進めていきましょう。
更地にする
建物が古い、あるいは損傷が激しい場合は、家を解体して更地として売却する方法も有効な選択肢です。買主にとっては、建物の解体費用やリフォームの心配がなくなり、自由に土地が活用できるようになるメリットがあります。
ただし、家の解体にはある程度のまとまった費用がかかることが一般的です。また、建物がなくなることで「住宅用地の特例」が適用されなくなり固定資産税が上がる場合もあるため、売却の見込みが立ってから解体工事を進めるなど、状況に合わせて実施することが重要です。
田舎の家の販売が得意な不動産会社に依頼する
立地等がいいにも関わらずなかなか売却ができない場合は、不動産会社の変更も検討しましょう。田舎の家の売却には、その地域の特性や市場を熟知し、独自の販売網を持つ不動産会社を選ぶことが重要です。
田舎の場合は、地域のコミュニティが強固です。そのため全国展開している不動産会社よりも、地域に密着した不動産会社の方がより多くの買い手を抱えているケースもあります。
田舎の家の放置は危険?売らないことで起こるリスクとは

田舎の家が売れなかったり、遠方にあって管理が難しいなどの理由で放置している方も多いことでしょう。しかし、田舎の家を放置しておくことは、多くのリスクが伴います。ここでは、田舎の家を放置することで生じる具体的なリスクについて解説します。
金銭面のリスク
田舎の家の放置は、金銭面でのリスクを抱えることになります。たとえば、固定資産税は物件を所有している限り毎年課税されます。また自治体から「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がる、50万円の過料を科せられるなど、不利益を被る可能性があります。その他にも、管理不足が原因で家が倒壊したり、庭木が道路にはみ出すなど周囲に損害を与えた場合、損害賠償を請求されるリスクもあります。
対人トラブルのリスク
管理されていない田舎の家は、対人トラブルの原因となります。雑草や庭木を伐採等をせずそのままにしていると、害虫や害獣が発生し、近隣住民を巻き込んで被害を与え、苦情の原因となります。また、売れないからと放置したまま次の世代に物件が相続されてしまうと、子や孫の間で売れない家の押し付け合いに発展する可能性があります。
犯罪に巻き込まれるリスク
周囲から空き家とみなされた家は、様々な犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。管理されていないと思われた土地は、不法投棄の格好の的になります。また、放火や不審火、空き巣に入られるといった犯罪被害に合うリスクも高まります。最悪の場合、犯罪現場に利用されてしまい、知らないうちに巻き込まれてしまう可能性もあります。
売り出しから1年を過ぎたら田舎の家は売れない?
家を売りに出した際に、一定期間を過ぎても売れなかったら、価格を下げたり、処分を検討するなど、対策を考える必要があります。では、どの程度の期間売れなかったら、今の状況では売れないと判断すればいいのでしょうか。
物件が売れるまでにかかる期間は、遅くとも八か月から1年程度といったデータがあります。売り出してから1年を過ぎても買い手が見つからない場合は、価格を下げる、更地にする、処分を考えるといったことも検討する必要があります。
参考:アットホーム調べ・アットホーム株式会社「中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査
田舎の家が売れない時に使える処分方法6選

価格を下げたり、リフォームするなど、対策をしても買い手が見つからない場合、売却以外の方法で家を手放すことを検討する必要があります。ここでは、田舎の家が売れなかった場合に使える処分方法を5つご紹介します。
相続放棄
相続財産に空き家が含まれており、明らかに資産価値がないという場合は、相続放棄を検討しましょう。不要な空き家を相続してしまうと、不動産は収益を生まないにも関わらず、税金や維持・管理の責任を負い続けなくてはいけません。
ただし、相続放棄は一部の財産のみを放棄することができません。相続予定の財産が負債ばかりで資産がないなど、相続すると損をするという場合でなければ、相続後に処分することをおすすめします。
隣人に譲渡
田舎の家が売れない場合は、隣人への譲渡も検討してみましょう。隣地の所有者にとっては、土地を取得することで自身の土地の面積が広がり、活用の幅が広がるメリットがあります。
もし連絡先がわからない場合は、法務局で登記謄本を取得して、手紙をだすことで、連絡をとることができます。ただし、個人間の売買はトラブルになる可能性もあるため、手続き等の際は専門家に相談することを検討しましょう。
相続土地国庫帰属制度
いらない不動産は、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう方法もあります。相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって取得した土地を国に引き取ってもらうことができる制度です。
ただし、利用には条件があり、建物が建っている土地や、担保権が設定されている土地、境界が不明確な土地などは対象外となるため、もし家が建っている場合は解体等を検討しましょう。
また、申請時には審査手数料がかかるほか、承認された場合は10年分の土地管理費の相当額を負担金として納付する必要があります。申請が不承認となっても審査手数料は返金されないため、利用を検討している場合は、まずは法務局に相談してみましょう。
自治体に寄付
自治体によっては、土地の寄付を受け付けている場合があります。もし寄付を受け入れてもらうことができれば、不要な土地を無償で手放すことができます。ただし、自治体も活用が見込めない土地は引き取ってくれず、自治体にとってメリットがある土地でなければ、寄付を受け付けてもらうことは難しいです。
不動産会社でも買取を断るような資産価値の低い土地は、自治体への寄付も難しいことが考えられます。まずは、土地を管轄している市区町村の役場に問い合わせ、寄付の受け入れ条件や手続きについて確認してみましょう。
引き取りサービス
その他の方法でも処分が難しい場合に検討したいのが、不動産の引き取りサービスです。引き取り業者は、資産価値がない不動産を活用する独自のノウハウや知識をもっているため、相続土地国庫帰属制度や、寄付など、その他の方法では手放すことが難しい不動産でも、引き取って貰える可能性があります。
引き取り業者への依頼は有償の場合もありますが、管理の手間や固定資産税の負担から解放されるメリットがあります。ただし、中には悪質な業者も存在するため、契約前には複数の業者を比較検討する、会社情報を調査するなど、しっかりと確認することが重要です。

マッチングサイト
田舎の家が処分できない場合、マッチングサイトの活用も有効な手段です。マッチングサイトは、不動産会社を介さずに個人間で直接交渉するため、不動産会社に売却を断られてしまった物件でも、好きな販売価格で全国に向けて発信することができます。
マッチングサイトのユーザーは購入意欲も高く、申し込みからの成約率が高いのも特徴です。また登録料は無料といったサイトもあるため、売れない田舎の家で困っているという方は、まずは登録だけでも済ませておくことをおすすめします。

まとめ
田舎の家の売却は、需要の少なさや物件の状況から、簡単にはいかないケースが多くあります。しかし、放置し続けることは金銭的にも精神的にも大きな負担となり、様々なリスクを伴います。田舎の家の処分にお困りの方は、ぜひ本記事の情報を参考にしてみてください。

株式会社KLC 代表 小林 弘典
幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。
不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。
- 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
- 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
- 立命館大学経済学部 客員講師
- 不動産有料引取業協議会 代表理事