相続負動産の教科書

不動産有料引取の価格相場は?業者選びのポイントや利用の注意点も紹介
相続負動産のキホン

不動産有料引取の価格相場は?業者選びのポイントや利用の注意点も紹介

相続などで不要な不動産を所有することになったものの、立地が悪かったり、老朽化しているなどの理由で、売却もできず、賃貸等でも活用できない場合があります。収益を生んでいない不動産でも、所有している限り税金や維持・管理の負担が続くため、手放せず困っているという方も少なくありません。

そういった資産価値がない不動産を手放す選択肢の一つとして、お金を支払って事業者に不動産を引き取ってもらう「不動産の有料引取サービス」があります。この記事では、不動産の有料引取サービスの価格相場や費用の内訳、安全にサービスを利用するための注意点、その他の処分方法について解説します。

*もし買取が難しい場合でも、有料引取(処分費用が発生)など他の手段のご案内が可能です。

不動産の有料引取とは?サービスが生まれた背景は

不動産の有料引取とは?サービスが生まれた背景は

不動産の有料引取サービスは、不要な不動産の所有者が引取料を支払い、事業者に不動産を引き取ってもらうサービスです。通常の不動産取引では、売主が買主から代金を受け取りますが、有料引取では所有者が費用を負担して不動産を引き取ってもらうことになります。

空き家等の増加に伴い、その管理や、流通に要する期間等の負担を回避するため、不動産の所有者が金銭を支払い、事業者が当該不動産を引き取る等、通常の売買取引に必ずしも当てはまらない取引が行われる場合がある。

引用:国土交通省「不動産の引取サービスについて」

不動産有料引取サービスが生まれた背景として、少子高齢化や人口減少、地方の過疎化などによって、資産価値がない不動産が増えてきたことが挙げられます。賃貸等で活用したり、住まいにすることもできない不動産は、所有者にとっては負債にしかならず、有料でもいいから引き取ってほしいという方は少なくありません。

有料引取で費用が発生する理由とは?費用の内訳は?

有料引取で費用が発生するのは、事業者が不動産を取得した後に維持・管理を行い、管理費や税金等を負担するためです。たとえば、定期的な草刈りや庭木の伐採を業者に頼んだり、外壁の補修や設備の修繕費用などがかかることもあります。土地の調査の際は、調査費用や測量費用が発生する場合があります。

また、固定資産税や管理組合への管理費が必要な場合は、その費用も有料引取事業者が負担することになります。適正に不動産の維持・管理を行っていくためには、一定の費用が必要となります。

不動産有料引取の価格相場

不動産有料引取の価格相場

不動産の有料引取の価格相場はいくらなのかと気になっている方も多いのではないでしょうか。不動産の有料引取は、土地の立地や面積、建物の有無、固定資産税や管理費の金額、再販売の見込みなどで必要な費用が大きく変わるため、明確な価格相場を出すことは難しくなっています。

一般的には、管理の負担が重かったり、再販が難しいと思われる土地ほど、引取料は高額となります。また、料金体系も事業者によってさまざまとなっており、引取料以外に調査費用が必要だったり、残置物の撤去費用などがかかるケースもあります。そのため、費用については、依頼を検討している業者に個別に確認するようにしましょう。

安全に有料引取を依頼するための注意点3選

安全に有料引取を依頼するための注意点3選

有料引取は、不動産取引として新しい形態のため、免許等で規制されておらず、安全に取引を行うためには、業者が信頼できるかどうかを自分で判断する必要があります。ここでは、安全に有料引取を行うための注意点を解説いたします。

信頼できる業者かを確認する

事業者を選ぶ際は、信頼できる業者かどうかを確認するようにしましょう。たとえば、ホームページに会社情報や代表者の経歴、これまでの引取実績が記載されているか、法人名、所在地、電話番号などが明示されているか、所在地に営業実態のある事務所があるか、またメディアへの掲載実績も参考にしましょう。

他にも、宅建業免許を持つ法人であるか、引取後の維持・管理や再販をどのように行なっているかという点も確認するようにしましょう。 

複数の引取サービスを比較する

有料引取を依頼する際は、複数の事業者から見積もりを取るようにしましょう。同じ有料引取事業者であっても、金額やサービス内容にはさまざまな違いがあります。

比較するときは、金額の高低だけでなく、サービス内容に合った料金設定になっているかも確認しましょう。不動産を引き取った後も適切に管理するためには、一定の費用が必要です。極端に料金が安い業者は、適切に所有権の移転を行ってくれない、または引取後に不動産を放置されてしまう可能性も考えられます。

追加費用の有無を確認する

引取料のほかに、追加費用の有無を必ず確認しておきましょう。例えば、契約後の現地調査で廃棄物が見つかった場合や、測量費用、建物の解体費用など、土地の状態によって、後から追加費用を請求される契約となっていないかを確認することが重要です。

引取料が安かったとしても、追加費用が高額になってしまっては意味がありません。契約をしっかりと確認し、引取料以外にかかる費用を把握しておきましょう。

*もし買取が難しい場合でも、有料引取(処分費用が発生)など他の手段のご案内が可能です。

不動産を放置することで発生するリスクとは

不動産を放置することで発生するリスクとは

不要な不動産であっても、所有している限り税金や維持・管理の負担が発生します。遠方にあり管理が難しく、つい放置してしまっているという方もいるかもしれませんが、所有している不動産が原因で生じたトラブルは、所有者が責任を負う必要があります。ここでは、不動産を放置することで考えられるリスクを紹介します。

税金や損害賠償が発生する

不動産を放置すると、金銭的なリスクを負う可能性があります。たとえ収益を生んでいなくても、課税対象であれば固定資産税がかかります。地域や土地の条件によっては都市計画税も発生し、所有している限り払い続ける必要があります。

また、老朽化した建物の外壁が崩れたり、塀が倒れたりして通行人や近隣の建物に被害を与えた場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。

近隣住民や家族・親族とのトラブル

管理されていない土地は、近隣住民とのトラブルにつながることがあります。たとえば、定期的に草刈りや伐採をしておかないと、雑草や庭木が隣の敷地にはみ出したり、害虫が発生して苦情につながる恐れがあります。

また、不要な不動産が次の世代に相続されてしまうと、相続人が税金や管理の負担を引き継ぐことになり、不要な不動産の相続をめぐって家族・親族間のトラブルに発展する可能性も考えられます。

不法投棄や犯罪被害に遭う

長期間管理されていない土地や空き家は、不法投棄や犯罪被害を受けるリスクがあります。周囲から管理されていないと思われた土地は、不法投棄の標的になってしまうリスクが高まります。もし不法投棄をされた場合、撤去費用は土地の所有者が負担することになってしまう場合がほとんどです。

空き家の場合は、放火や不法侵入の被害に遭う可能性があります。もし所有している土地が犯罪現場に利用されてしまうと、警察からの事情聴取を受けるなど、意図せず面倒ごとに巻き込まれることになります。

有料引取以外でおすすめの処分方法

有料引取以外でおすすめの処分方法

不動産会社に売却を断られてしまうような不要な不動産でも、条件によっては有料引き取りサービスを利用せずに手放せることがあります。 ここでは、有料引取以外におすすめの処分方法を紹介します。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって取得した土地を、有料で国に引き取ってもらう制度です。ただし利用には条件があり、建物がある土地や、一定以上の勾配がある土地など、管理に過分な費用や労力がかかる場合は、却下や不承認となります。

利用には審査手数料と負担金が必要となりますが、審査手数料は、不承認となった場合も返金されません。事前に所有している土地が制度の対象になるのか、管轄する法務局に相談しましょう。

自治体に寄付する

不動産の所在地を管轄する自治体に、土地の寄付を相談する方法もあります。道路の拡幅や公共施設としての利用など、自治体が活用可能な不動産であれば、寄付を受け入れてもらえる可能性があります。

ただし、自治体にも維持管理の負担が生じるため、公共利用の見込みや土地の状況などを踏まえて判断されます。寄付を検討している場合は、最寄りの役所の土地計画課などに相談してみましょう。

隣人に譲渡する

隣接する土地の所有者に、売却や無償譲渡を提案する方法もあります。単独では活用しにくい土地でも、土地が広くなったり、駐車場などに利用できるといったメリットがあるため、不動産会社に断られてしまうような土地であっても、関心を持ってもらえる可能性があります。

個人同士の取引となるため、後からトラブルにならないよう、契約内容や税金の取り扱いなどを事前に確認しておくことが重要です。

マッチングサービスを利用する

最近では、不動産のマッチングサービスを使う人も増えています。マッチングサービスは、土地や建物を売りたい・譲りたい所有者と、購入や活用を希望する人をつなぐ仕組みです。一般の不動産会社では買い手が見つかりにくい土地でも、家庭菜園や趣味のための土地を探している人などのニーズにマッチする可能性があります。

マッチングサービスを利用すれば、自分の希望する価格で不動産を売却できる可能性があります。不要な不動産を少しでも高く売却したいという方は、まずは無料登録から試してみることをおすすめします。

フィールドマッチング

まとめ

不動産有料引取サービスは、土地や建物の状態によって、価格も大きく変わります。また、不動産によっては国庫帰属制度や自治体への寄付、隣人への譲渡、マッチングサービスなどを利用できる可能性もあります。

不要な不動産に困っているという方は、本記事を参考に自分にあった方法を選択してください。

監修者 監修者

株式会社KLC 代表 小林 弘典

幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。

不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。

  • 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
  • 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
  • 立命館大学経済学部 客員講師
  • 不動産有料引取業協議会 代表理事

この記事が気に入ったらシェア

  1. line
  2. x
  3. facebook

関連記事

原野商法の土地を相続したらどうする?損をしないための対処方法とは
相続負動産のキホン

原野商法の土地を相続したらどうする?損をしないための対処方法とは

相続負動産のキホン

別荘あげます!不要な別荘を譲渡する方法や損をしないためのポイントを解説

相続負動産のキホン

相続人申告登記とは?必要書類や費用、利用のポイントをわかりやすく紹介!

田舎の実家はどうするのが正解!?相続で損をしないためのポイントを解説
不動産有料引取サービスについて

田舎の実家はどうするのが正解!?相続で損をしないためのポイントを解説

新着記事

【2026年10月最新版】相続土地国庫帰属制度が使えない?利用の条件や使えない場合の対処方法
相続負動産のキホン

【2026年10月最新版】相続土地国庫帰属制度が使えない?利用の条件や使えない場合の対処方法

再建築不可物件を所有したらどうする?建て替えの条件やおすすめの活用法
相続負動産のキホン

再建築不可物件を所有したらどうする?建て替えの条件やおすすめの活用法

相続土地国庫帰属制度はいつから開始された?制度の概要や手続き方法を解説
相続負動産のキホン

相続土地国庫帰属制度はいつから開始された?制度の概要や手続き方法を解説

相続放棄した家はどうなる?保存義務の注意点や損をしないためのポイントを解説
相続負動産のキホン

相続放棄した家はどうなる?保存義務の注意点や損をしないためのポイントを解説