別荘あげます!不要な別荘を譲渡する方法や損をしないためのポイントを解説
相続等で不要な別荘を所有することになり、売却も難しいため「タダでもいいから誰かに譲渡したい」と悩んでいる方は少なくありません。別荘は、管理組合が存在していたり、税金の取り扱いが異なるなど、通常の不動産との違いがあるため、譲渡する際は注意が必要です。また、譲渡先がなかなか見つからないケースも珍しくありません。
本記事では、「別荘をあげます」と無償譲渡を検討している方に向けて、譲渡する際の注意点や、別荘を所有し続けるリスク、譲渡できなかった場合の具体的な処分方法を解説します。不要な別荘の処分でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
「別荘あげます」が増えている背景は

親から相続等で利用予定のない別荘を手にした場合、使わなくても毎年の固定資産税や別荘地の管理費、建物の維持・修繕といった重い金銭的・精神的な負担がのしかかります。そのため、「お金を払ってでも手放したい」「無償譲渡して身軽になりたい」など、別荘をただでもいいからあげえたいと考える人も少なくありません。
軽井沢、那須高原、伊豆などは別荘地として有名ですが、建てた物件が老朽化し、所有者も高齢化したことで、不要になってしまって、無償でもいいから譲渡したい、という方も増えています。
別荘を譲渡する場合の注意点

別荘を無償で譲渡する場合、別荘地特有のルールや管理組合の存在など、通常の宅地とは異なる取り扱いが求められることもあります。ここでは、別荘を譲渡する際の注意点を解説します。
売却の可能性はないか検討する
無償で譲渡する前に、まずは売却の可能性がないかを十分に検討しましょう。大手の不動産会社で査定がつかなかったり、取り扱いを断られた場合、売れない物件と決めつけてしまう方もいると思いますが、売却の可能性がないかどうかは、それだけでは判断できません。
リゾート物件を専門に扱う不動産業者や、その別荘地がある地元の不動産会社などに査定や売却の相談をしてみることで、値段をつけて売却できる可能性があります。
設備の不備や故障がないかを確認しておく
譲渡する前には、建物の雨漏りや水回りの設備の不具合、シロアリ被害などがないかを必ず確認しておきましょう。「タダであげるのだから現状のままでいいだろう」と思うかもしれませんが、譲渡後に重大な不具合が発覚した場合、契約不適合責任を問われ、修繕費用の請求やトラブルに発展する可能性があります。
不具合がある場合は、事前に相手方に伝え、契約書にその旨を明記した上で現状で譲渡する合意を得ることが重要です。
税金や費用が発生する
「無償譲渡」といっても、手続きを完了させるためには費用や税金が発生します。所有権を移転するための登記費用や、手続きを代行してもらう司法書士への報酬等は必ずかかります。
また、受け取る側には、不動産取得税や登録免許税のほか、土地や建物の評価額によっては贈与税が課される可能性があります。「タダでもらえる」と思っていた相手に高額な税金の通知がいき、後からトラブルになるケースも少なくありません。譲渡する際は、相手方に税金や費用の負担が発生する可能性があることを事前にしっかりと説明しておきましょう。
別荘を譲渡以外で活用する方法とは

別荘を売却できず、無償であげる相手も見つからない場合は、別荘を活用できる方法を検討しましょう。ここでは、譲渡ができない場合に、別荘におすすめの活用方法を紹介します。
貸し出す
別荘を貸別荘や民泊として貸し出すことで、宿泊料などの収益を得る方法があります。自然に囲まれた環境であれば、ワーケーションや、避暑地として活用したいといった層からの需要が見込める可能性があります。
ただし、貸し出しの形態によっては住宅宿泊事業法や旅館業法などの届け出が必要になる場合があります。また、避暑地などのリゾートエリアでは、夏休みなどの繁忙期とそれ以外の閑散期で需要の差が激しく、収益が安定しないリスクも考慮する必要があります。
住まいとして利用する
別荘の立地条件が良く、最寄り駅にアクセスしやすい、周辺にスーパーや病院などのインフラが整っている場合は、思い切って家族等の住まいとして利用することもできます。別荘として利用していた不動産であっても、住民票を移して通常の住まいとして利用することは問題ありません。
もし生活拠点から遠く離れた山奥の別荘地などにある場合は、定住は難しくても、週末だけ都会の喧騒を離れて過ごすセカンドハウス(二拠点生活)として活用するといった方法もあります。
更地にして売却する
建物が老朽化して使い物にならず、そのままでは買い手がつかない場合は、建物を解体して更地にして売却するという方法もあります。更地にすることで、購入者にとっては活用の選択肢が広がるため、売却のハードルが下がる可能性があります。
ただし、建物の解体には数百万円単位の費用がかかることが多く、更地にすると「住宅用地の特例」から外れて固定資産税が跳ね上がるリスクもあります。そのため、更地にした後に売却や別の活用のめどが立つかどうかを、事前に不動産会社等とよく相談してから解体工事を行うようにしましょう。
いらない別荘を放置していると損をする?手放した方がいい理由とは

別荘が売却も譲渡もできなかった場合、時間やお金をかけて管理するという方はすくないかもしれません。しかし、利用する予定がないからと別荘を放置しておくと、実は思わぬ損をしたり、面倒ごとに巻き込まれる可能性があります。ここでは、不動産を放置しておくことで発生するリスクについて紹介します。
特定空き家に指定されて税金や撤去費用が発生する
不動産は、全く利用していなくても所有しているだけで、様々な費用がかかります。たとえば、固定資産税や都市計画税(対象の区域の場合)が毎年発生します。さらに、老朽化した別荘を適切に管理せず放置し続けると、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」に指定され、固定資産税の優遇措置の対象から除外され、税額が最大で6倍になる可能性があります。
さらに放置を続けると、行政代執行によって強制的に建物が解体され、その撤去費用を所有者として請求されるリスクがあります。
管理費や修繕費がかかる
別荘地内に物件がある場合、別荘を利用していなくても毎月の管理費を管理会社等に支払う必要があります。この管理費は、管理組合を脱退したとしても、別荘地全体の維持のために支払い義務が残るケースが裁判の判例でも示されています。
その他にも、建物を維持するための修繕費や、定期的な草刈りなどの費用負担が重くのしかかります。
隣人や家族、親族との対人トラブルに発展する
別荘の管理を怠ると、隣人や、家族、親族とのトラブルに発展する可能性があります。庭の雑草が繁殖して害虫や害獣の原因になる、伸びた庭木が隣の敷地にはみ出してしまうなど、近隣住民からクレームを受ける原因となります。
また、不要な別荘を自身で処分せずにそのまま亡くなってしまった場合、相続した子どもや親族同士で「誰が不要な別荘を引き継ぐのか」と押し付け合いになってしまうこともあります。
犯罪に巻き込まれる
放置されている別荘は、犯罪のターゲットにもなりやすいです。たとえば、不法侵入されて空き巣被害に遭ったり、粗大ゴミや産業廃棄物を不法投棄されたりする危険性があります。
最悪の場合、放火の標的にされたり、詐欺グループの犯罪拠点として勝手に利用され、所有者として警察の事情聴取を受けるなど、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
別荘あげます!不要な別荘を処分するおすすめの方法5選

売却も難しく、無償で譲渡する相手も見つからない場合、どうやって別荘を手放せばいいのかと困ってしまう方も少なくありません。ここでは、不要な別荘を手放すための具体的な方法をご紹介します。
隣人に譲渡する
隣接する別荘の所有者や近隣の住民と交流がある場合は、無償譲渡を打診してみるのも一つの手です。
隣人にとっては、隣地の不動産を貰い受けることで、自分の敷地が広くなり、庭を拡張したり駐車場を作ったりと、活用の選択肢が広がるメリットがあるため、快く受け入れてもらえる可能性があります。
空き家バンクに登録する
自治体が運営する「空き家バンク」に物件情報を登録することで、移住希望者などに広くアピールする方法もあります。
ただし、空き家バンクは必ずしもすぐに買い手やもらい手が見つかるわけではなく、自治体の情報発信力が弱いと、なかなか譲渡先がみつからない場合もあるため、気長に待つ必要があります。
別荘管理会社に引き取ってもらう
別荘が管理地内にある場合、その別荘地を管理している会社に相談してみましょう。別荘を放置されると、景観悪化や、管理費の滞納等につながるケースもあるため、引き取って再販等に回した方が良いと判断する管理会社もあります。
ただし、無償で引き取ってくれるケースは少なく、数年分の管理費相当額や解体費用などの名目で、引き取りに費用がかかるケースが多いのが実情です。
有料引き取り業者に依頼する
どうしても譲渡先が見つからない場合は、不要な不動産の引き取りを専門に行っている「有料引き取り業者」の利用を検討しましょう。有料引取り業者は、業者独自の活用ノウハウがあるため、他で断られた物件でも引き取ってもらえる可能性があります。
費用はかかりますが、将来にわたって払い続ける固定資産税や管理費、修繕費、維持・管理の責任を負う精神的な負担を考えれば、一時的な費用を払ってでも手放した方が、トータルで得をするケースがほとんどです。他に断られて困っているという方は、まずは無料相談から申し込んでみることをおすすめします。
マッチングサービスを利用する
一般的な不動産会社では取り扱いが難しい別荘でも、不動産売買の「マッチングサイト」を利用することで売却できる可能性があります。マッチングサイトを使えば、「週末だけDIYを楽しみたい」「キャンプ用のプライベート空間が欲しい」といった、通常の不動産市場にはないニッチなニーズを持ったユーザーに直接アプローチできます。
不動産会社は、手数料にならない物件は積極的に取り扱ってくれませんが、マッチングサイトであれば、価格をつけて売却できる可能性もあります。少しでも高く別荘を売って処分したいという方は、ぜひ登録してみてください。
まとめ
不要な別荘は、ただ所有しているだけでも税金や管理費がかかり続け、放置すればトラブルや犯罪のリスクが高まり、「負動産」になりかねません。「タダでもいいからあげたい」と思っても、譲渡先がみつからないこともあります。
譲渡先がどうしても見つからない場合は、有料の引き取りサービスやマッチングサイトなどを活用し、将来の負担をなくすためにも早めに処分に向けて行動を開始しましょう。
監修者
株式会社KLC 代表 小林 弘典
幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。
不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。
- 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
- 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
- 立命館大学経済学部 客員講師
- 不動産有料引取業協議会 代表理事


