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相続した別荘地でも管理費の支払いが必要?不要な別荘地を所有する注意点とは

相続した別荘地でも管理費の支払いが必要?不要な別荘地を所有する注意点とは

相続で予期せず別荘地を所有することになり、管理の負担に頭を悩ませている方は少なくありません。利用していない別荘地であっても、管理費や税金の支払い、維持・管理などは所有者の責任となります。

本記事では、不要な別荘地の管理に困っている方に向けて、別荘地に必要な管理や管理費、放置することのリスク、管理が困難な場合の対処方法について詳しく解説します。

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別荘に必要な管理とは

別荘に必要な管理とは

別荘は、実は通常の住宅以上に適切な管理が必要となります。具体的には、定期的な換気や清掃、庭木の伐採、建物の修繕、防犯のための見回りなどが挙げられます。場所によっては、除雪が必要だったり、台風が多い地域では暴風対策なども必要です。

土地や建物は、利用していないとかえって傷みが早くなります。長期間放置することで設備も故障しやすくなり、定期的なメンテナンスを怠ると、老朽化や資産価値の低下といった様々な不利益を被る恐れがあります。そのため、維持管理を管理会社へ委託するケースも少なくありません。

別荘の維持にかかる費用は?税金や管理費を解説

別荘の維持にかかる費用は?税金や管理費を解説

別荘は、たとえ全く使用していない状態であっても、所有しているだけで多額の維持費が発生します。ここでは、別荘の維持にかかる一般的な費用を解説します。

管理費

別荘地にある物件の場合、施設の維持・清掃を管理会社に委託していることが多く、そのための管理費を支払う必要があります。金額は場所によって異なりますが、年間数万円から数十万円程度かかることが一般的です。建物を使用していなくても、管理費の支払いを拒むことはできません。

税金

利用していない別荘であっても、所有している限り税金が課税されます。土地や建物の価値に基づく固定資産税、市街化区域内にある場合は都市計画税、また住民税の均等割が発生します。収益を生んでいない不動産であっても、所有者である以上税金は一生払い続けなければいけません。

水道光熱費

別荘地も通常の住宅と同じく、水道光熱費が発生します。水道、電気、ガスなどは、使用の有無にかかわらず基本料金が発生します。たとえ長期間利用していない場合であっても、凍結防止のために通水しておく必要があるなど、管理上の理由で解約できない場合も多いです。

保険料

万が一の火災や自然災害に備えるため、火災保険や地震保険への加入も欠かせません。別荘は不在期間が長いため、不審火や建物の不備による事故のリスクが一般住宅より高く見積もられ、保険料が割高な別荘用の保険が必要な場合もあります。

修繕費

建物は、時間が経つにつれて必ず劣化します。特に別荘地は、定期的なメンテナンスが行われない場合も多く、通常の住宅より設備が壊れやすい傾向があります。水道や空調設備などが壊れた場合は、修繕費が必要となります。リゾートマンション等、別荘の種類によっては、修繕積立金が必要な場合もあります。

温泉更新料・使用料

温泉地の別荘の場合、固有の費用として「温泉使用料」や「温泉権利更新料」が発生する場合があります。温泉をひいているという場合は、その利用のために一定期間ごとに権利の更新が必要な場合が多く、その際には数十万円から数百万円という高額な更新費用を請求されることもあります。

共益費

分譲マンションタイプの別荘や、共用施設が充実した大規模別荘地では、施設の維持やフロントサービスの運営、ゴミ処理などのために「共益費」がかかる場合があります。これらは管理費とは別に設定されていることも多く、施設を利用していなくても支払いが必要です。

別荘の管理費の拒否はできない?最高裁の判決は?

別荘の管理費の拒否はできない?最高裁の判決は?

別荘地を相続等で所有することになり、利用する予定がない場合は、管理契約を解約し、管理費の支払いを拒否したいという方も多いと思います。

しかし、2025年の最高裁の判例では、多数区画からなる別荘地の場合は、別荘の管理契約の有無にかかわらず、支払い義務を認めると判断されています。

”最高裁判所は、土地所有者側の訴えを退け、管理費相当額の支払義務を認めた下級審の判断を支持しました。「別荘地が存続する限り、その基本的な機能や質を確保するために必要なものであり、全ての土地所有者に利益を及ぼす。契約していない一部の所有者だけを利益の享受から排除することは困難な性質のものである。」”

引用:「弁護士 櫻町直樹(内幸町国際総合法律事務所)」【最高裁判例】契約なしでも別荘の管理費は払うべき? ―「不当利得」に関する新しい判断―

もし、現在多数区画の別荘地にありながら未契約を理由に管理費を支払っていない場合は、判例を根拠に管理費を請求される可能性があります。実際に、2026年になってから別荘地の管理会社から相続人に費用請求が届くという事例が多発しています。

別荘を放置すると起こる危険とは

別荘を放置すると起こる危険とは

不要な別荘地を所有している場合、使う予定がないのに時間やお金をかけて維持・管理をしていくという方は少ないかもしれません。しかし、使わないからという理由で別荘を放置しておくことは、実は非常に危険です。ここでは、放置によって生じるリスクを解説します。

損害賠償を請求される

別荘を放置しておくと、損害賠償を請求されるリスクが高まります。たとえば、別荘地の外壁が倒壊したり、倒木などにより隣地や通行人に損害を与えてしまった場合は、管理責任を問われ損害賠償を請求される可能性があります。またこういった危険な状態で別荘地を放置しておくと、管理会社からも管理費用の請求をされる恐れが高まります。

対人トラブルの原因になる

放置された別荘地は、様々な対人トラブルの原因になります。たとえば、雑草や庭木が伸びることで害虫や獣害の発生源となり、近隣からクレームが寄せられたり、隣地に樹木が侵入してトラブルになる可能性があります。また、不要な別荘が処分されないままに相続されると、相続人同士で押し付け合いになり、家族や親族のもめ事の原因になります。

犯罪に巻き込まれる

周囲から管理されていないとみなされた別荘は、様々な犯罪のターゲットにされてしまう可能性があります。管理していない別荘地は、不法投棄の標的にされたり、空き巣や放火、不法侵入などの被害に遭うリスクが高まります。最悪の場合、知らないうちに犯罪の拠点として利用され、警察の捜査対象になるなど、事件に巻き込まれる危険性があります。

別荘の管理費を抑える方法3選

別荘の管理費を抑える方法3選

不要な別荘を所有している場合、管理費に悩んでいるという方も多いことでしょう。できればお金はかけたくないものですが、適切な管理をしておかないと、資産価値の劣化や様々なトラブルを招きます。別荘を維持しながら、少しでも管理費を軽減したい場合には、事前の対策や制度の活用が有効です。ここでは、コストを抑えつつ、適切な状態を保つための代表的な方法を紹介します。

定期的な保守・点検を行う

別荘地にかかるコストを抑えたい場合は、定期的な保守・点検を行いましょう。不動産は、放置しておくと劣化が進みやすくなります。たとえば、換気不足により湿気がたまり建物が傷んだり、汚れが固着し変色するといった劣化が起こり、資産価値が急速に低下します。保守・点検は費用も手間もかかりますが、長期的にみればこまめに保守や点検を行った方が、コストを抑えることができます。

貸し出しを行う

別荘を利用する予定がない場合は、民泊や賃貸物件として別荘を貸し出すことも検討してみましょう。宿泊料や賃料を得ることができれば、管理費や税金の支払いに充てることができます。また、貸し出して別荘を利用してもらうことで、放置による建物や設備の劣化を防ぐことができます。貸し出しを検討している場合は、別荘の賃貸の取り扱いがある不動産会社などに相談してみましょう。

セカンドハウス認定を受ける

間接的に別荘の管理費を下げる方法として、セカンドハウス認定をうけて税金を節約するといった方法もあります。セカンドハウスとは、毎月1日以上など、定期的に居住する生活の拠点のことです。行政から、別荘をセカンドハウスとして認定されると、税制上の優遇措置を受けられる場合があります。

不要な別荘地の管理ができない時にできる処分方法とは

不要な別荘地の管理ができない時にできる処分方法とは

相続等で別荘を所有することになった場合、利用する予定がなく、税金や管理費といった金銭的な負担や、維持・管理の責任を負うだけになってしまい、手放したいと考えたい方も多いと思います。しかし、不動産の知識がない相続人にとって、別荘を処分することは簡単ではありません。そこで、ここでは不要な別荘を処分するための方法を紹介します。

不動産会社に依頼する

別荘が不要な場合は、まず不動産会社に依頼してみましょう。立地が良く需要がある物件であれば、売却できる可能性があります。別荘の場合は、別荘専門の不動産会社への依頼がおすすめです。売却には、不動産会社に依頼する買取と、買い手を探してもらう仲介があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を選択しましょう。

空き家バンクを活用する

不動産会社に依頼しても売却が難しい場合は、自治体が運営する空き家バンクに登録するのもおすすめです。空き家バンクは、自治体が運営する不動産を活用したい人と譲渡したい人向けのプラットフォームです。

ただし、全ての自治体に設置されているわけではなく、自治体の発信力が弱い場合は、譲渡先が見つからない場合もあるため注意が必要です。

引き取り業者に依頼する

不動産会社に依頼しても断られ、引き受け手が見つからないという場合は、専門の引き取り業者への依頼を検討してみましょう。引き取り業者は、不要な不動産を処分する独自のノウハウや知識を持っているため、他の方法では処分できなかった不動産でも引き取って貰える可能性があります。

費用がかかる場合もありますが、使わない別荘の管理費を払い続けることを考えれば、有償でも処分をした方が長期的には得をする方がほとんどだと思います。不要な別荘に困っているという方は、まずは無料相談から始めてみましょう。

有料引取サービス

マッチングサイトの利用

最近では、マッチングサイトを利用して個人間で不動産を売買する人も増えています。マッチングサービスを使えば、不動産会社では届けられなかったニッチな需要をもったユーザーや買い手に向けて情報を発信できます。

うまくいけば、不動産会社では価格がつかなかった別荘であっても売却できる可能性もあります。登録は無料というところも多数ありますので、登録だけでも済ませてみることをおすすめします。

フィールドマッチング

まとめ

本記事では、相続した不要な別荘の管理や管理費について、また別荘を放置するリスクや処分方法について解説しました。不要な別荘の処分や管理に困っているという方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

監修者 監修者

株式会社KLC 代表 小林 弘典

幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。

不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。

  • 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
  • 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
  • 立命館大学経済学部 客員講師
  • 不動産有料引取業協議会 代表理事

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