不動産有料引取業協議会とは?有料引き取りを安全に行うポイントも紹介
不動産有料引取業協議会は、不動産の有料引き取り健全化や、消費者保護を目的とした一般社団法人です。相続などで活用できない土地を所有することになった場合、有料でもいいから不要な不動産を処分したいという方は少なくありません。このような不動産有料引取り業を営む有志により、不動産有料引取業協議会が設立されました。
本記事では、不動産有料引取業協議会の概要、売却できない負動産の実態や安全に有料引き取りを行う方法を詳しく解説しています。不要な不動産の処分でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産有料引取業協議会とは

不動産有料引取業協議会は、空き家や過疎地の土地など、資産価値が低く売却や活用が難しい不動産を有料で引き取る不動産有料引取業者によって組織された一般社団法人です。
有料引取サービスを提供する有志の企業が集まり、2023年に発足、2025年12月26日に一般社団法人化されました。不動産有料引取業協議会では、引き取りサービスを消費者が安心して利用できる健全な業界を目指し、法令遵守や倫理観を保つための行動指針、統一ガイドラインなどを整備し、利用者保護のための活動を行っています。
不動産有料引取業協議会の公式サイトはこちら
不動産有料引取業協議会が設立された背景
不動産有料引取業協議会が設立された背景には、不動産有料引き取り事業へのニーズの増加があげられます。最近では、人口減少や過疎化などの進行により、不動産の有料引き取りへのニーズは年々増加しており、それに伴い事業者も増えてきました。
しかし、有料引き取り事業は、不動産の中でも新しいビジネス形態であるため、免許や資格等も必要なく、法整備が追いついていません。そのため、費用だけ受け取って土地の引き取りを行わない業者、引き取った土地の維持管理をせずに放置する業者など、悪質な業者の存在も懸念されています。
不動産有料引取業協議会は、こういった事態を受け、業界の健全な発展と利用者保護、そして適正な取引環境を整備することを目的に、有志によって設立されました。
不動産の有料引き取りはどうして生まれた!?売却できない負動産とは

「負動産」とは、価値がないばかりか所有するだけで損をしてしまう、負債化した不動産を表した造語となります。近年、人口減少や高齢化を背景に、資産価値がない「負動産」が急増しています。総務省の2023年10月の調査では、全国に約900万戸の空き家が存在し、まったく利用されていない「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は実に385万戸にも上ることがわかっています。

引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果」
負動産は、資産価値がなく売却できない、収益を生まないにも関わらず、固定資産税を支払う必要がある、維持・管理義務が発生するなど、所有しているだけで様々な不利益が発生します。不動産会社に相談しても買い手が見つからず、処分が困難なケースも少なくありません。
対策として、国は2023年度に相続土地国庫帰属制度を開始しましたが、条件が厳しく、制度を利用できない場合も少なくありません。このような、手放すことができない負動産への悩みを解決する手段として、費用を払ってでも不動産を処分したいというニーズが生まれ、有料引き取りサービスが求められるようになりました。
有料でも引き取ってもらった方がいい土地の特徴3選

不動産が負動産になってしまうと、不動産会社への売却や、譲渡先をみつけることは困難となります。また時間が経てばたつほど、資産価値も減少し、土地が荒れるなど処分が難しくなってしまうため、早めに対処することが求められます。ここでは、負動産になりやすい土地の特徴を紹介します。
田舎や過疎地にあり、活用や売却ができない土地
田舎や過疎地にある土地は、活用や売却が難しくなるケースが多く、負動産になりやすいです。最寄り駅から遠く、交通の便が悪い、病院等のインフラが整備されていないなど、賃貸ニーズがない土地は、買い手や借り手を見つけるのが困難となります。
また、所有していても価値が上がることも考えづらいため、早めに処分を検討することをおすすめします。
管理が難しい土地
管理に手間やコストがかかる土地も、処分した方がいい土地のひとつです。たとえば、遠方にあって土地のメンテナンスができない場合、庭木が伸び、隣地にはみ出して苦情を入れられる、不法投棄や不法侵入の被害に遭い、最悪の場合犯罪に利用されるなど、様々なリスクが高まります。
また、そのまま土地が相続されてしまうと、親族同士で土地の押し付け合いに発展してしまう場合もあります。
固定資産税や管理費が発生している土地
収益がないにも関わらず、固定資産税や管理費などの費用が発生している土地は、できるだけ早く処分することをおすすめします。たとえば、固定資産税や都市計画税といった税金は、所有している限り課税され続けます。また、別荘などを所有している場合は、別荘の管理費用を支払い続ける必要があり、買い手にとってはかなりの負担となります。
その他にも、管理不足で不動産の外壁等が倒壊し隣地や通行人に損害を与えた場合、損害賠償を請求されるなど、様々な金銭的リスクを抱える可能性があります。
有料引き取り業者は危険?こんな業者には要注意!

不要な不動産で困っている方にとって、有料引き取り業は非常に便利なサービスですが、不動産取引には様々なリスクがあります。たとえば、バブル期は無価値な不動産を高額で売りつける原野商法が流行したり、地主になりすました地面師詐欺などもあります。有料引き取り業者においても、金銭だけを受け取って名義変更をしないといった被害も報告されています。
特に有料引き取り業は、不動産の取引形態として比較的新しい分野であるため、参入に免許や資格が必要なく、法整備が十分にされているとはいえない状況です。引取り業者とのやりとりの中で、少しでも怪しいと感じる点があった場合は、弁護士や消費者生活センターに連絡するなど、自分だけで判断しないようにしましょう。
安全に有料引き取りを行ってもらうポイントとは

不動産有料引取業協議会では、安全に取引を行うためのガイドラインを定めており、その中で「安全・安心な業者を選ぶための7つのチェックポイント」が紹介されています。ここでは、7つのチェックポイントを基に、有料引取りを実際に利用する場合に気を付けるポイントを紹介します。
会社は実在しているか
詐欺を行う引き取り業者は、会社として活動しているように見せかけて、実際には実態がないといったケースが多くあります。引取り業者を選ぶ際は、相手の会社がしっかりと実在しているのか情報を確認しましょう。
具体的には、会社のホームページがあるのか、住所の記載があり、実際に事務所があるかどうか、代表者の名前で検索したら実在する人物か確認できるかなど、会社や社員が実在し、活動している実態があるかを確認しましょう。
対面や電話などでも対応してもらえるか
信頼できる業者かどうかを判断する基準として、対面や電話での窓口が用意されているかという点もチェックしておきましょう。詐欺業者は、身元を知られることを嫌うため、こちらから相談しようとしてもメールや書面でしか対応してもらえない場合があります。
電話や対面での対応窓口が明記されていなかったり、要求しても断られるという場合は、詐欺業者の可能性もあるため注意が必要です。
契約書の用意があり、内容が公正か
契約書の用意がない業者は注意が必要です。メッセージのやり取りや口約束だけで手続きを進める業者は、契約書がないことを理由に費用だけをだまし取ったり、理由をつけて引き取りを拒む可能性があります。また、契約書については、細部まで目を通して確認しましょう。
業者によっては、一方的に不利な条件を記載していたり、追加費用を請求できる条項が盛り込まれているといった可能性もあります。可能であれば、弁護士等の専門家に確認をしてもらうと安心です。
不明瞭な金銭の要求がないか
見積もりが提示されたら、内訳をしっかりと確認しましょう。引き取り費用とは別に、「事前調査費」「コンサルティング料」「登録料」などの名目で、不明瞭な金銭を要求してくる業者には注意が必要です。
また、費用については、記録に残るようメール等でやり取りしておくと安心です。逆に安すぎる場合は、詐欺業者である可能性を疑いましょう。
不動産の有料引き取りは、その後の維持・管理等に一定の費用がかかります。極端に料金が安い場合は、情報だけを抜き取って別の詐欺にあっせんする、引き取った後に維持管理をするつもりがまったく無いなど、 不正な目的をもっている可能性も考えられます。
資格を持っているか
安全な業者を見分ける判断として、法人が不動産に関わる資格を持っているかも重要です。例えば、法人が宅地建物取引業の免許を有している場合、不動産についての専門的な知識をもった業者と判断できます。
資格は、できればその情報が虚偽でないかも確認しておきましょう。たとえば、宅地建物取引の資格は、「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」 で検索し、虚偽の記載がないかを確認することができます。
苦情対応の窓口はあるか
引き取りを申し込む場合は、苦情対応の窓口があるかを確認しておきましょう。お客様相談室や苦情受付窓口などのサポート体制を公開している会社は、責任の所在を明確にしており、自社のサービスに責任を持っている業者といえます。
電話番号等の記載がある場合は、実際に電話するなどしてつながるかどうかも確認するようにしましょう。
管理の方針が示されているか
引き取った不動産について、管理の方針が示されているかも判断のポイントになります。悪質な引き取り業者の場合は、そもそも引き取り自体を行わないことも多く、引き取り後の不動産の管理方法等を提示していない場合もあります。
ホームページ等に引き取り後の不動産をどう管理しているのか記載がない場合は、引き取るふりをするだけの業者であったり、引き取り後の維持管理をせずに 計画倒産を考えているといったケースも考えられます。
※チェックポイントについては、不動産有料引取業協議会のページに記載されているものをわかりやすい表現にして記載しています。
参考:不動産有料引取業協議会「引取業社の選び方と安全基準」
有料引き取り以外の処分方法とは

不動産は、有料引き取り以外でも処分をする方法があります。まずは有料引き取り以外で処分方法があるかを検討してみましょう。ここでは、有料引き取り以外におすすめの処分方法を紹介致します。
不動産会社に依頼
不動産を処分する方法として、まず検討したいのが不動産会社に依頼する方法です。不動産会社は、できるだけ複数社に依頼してみましょう。一つの会社で断られてしまった場合でも、他の会社では取り扱ってもらえる場合もあります。
また、不動産会社への依頼方法は、仲介と買取りがあります。仲介の場合は、時間がかかりますが、希望の価格で売却できる可能性があります。反対に、不動産会社の直接買取はすぐに処分ができるものの、相場より売却価格が低くなる可能性もあります。自分の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。
相続土地国庫帰属制度
相続または遺贈によって不動産を取得してしまった場合、相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。相続土地国庫帰属制度は、国に有償で土地を引き取ってもらうことができる制度です。
注意点として、土地に建物がないなど条件があるため、すべての土地に利用できるわけではありません。また、審査手数料と負担金が必要となります。利用を検討する場合は、まずは最寄りの法務局に相談してみましょう。
自治体や法人等に寄付
自治体によっては、土地の寄付を受け付けている場合があります。寄付を受け入れてもらうことができれば、いらない土地を無償で処分できます。
ただし、自治体での受け入れは、再活用が可能な土地に限られます。処分を検討するような土地の場合は、受け入れてもらえない可能性もある点に注意しましょう。
隣人に譲渡
不要な土地は、隣人に譲渡して手放す方法もあります。隣人にとっては、土地活用の選択肢が広がる、土地がまとまって価値が上がるなどのメリットがあるため、受け入れてもらえる可能性が高い方法です。
もし隣人の連絡先が分からない場合は、法務局で登記謄本を取得し、手紙を出すといった方法があります。
マッチングサイトを利用する
最近では、不動産取引にマッチングサイトを利用する人も増えています。マッチングサイトは、不動産を売りたい人と買いたい人をつなげてくれるプラットフォームです。
マッチングサイトを使えば、他の方法では届けられなかったニッチなニーズをもったユーザーに情報を発信できるため、不動産会社に売却を断られてしまった土地であっても、買い手を見つけられる可能性があります。不要な土地に困っていて、少しでも高く売却したいという方は、ぜひマッチングサイトを試してみて下さい。
まとめ
本記事では、不動産有料引取業協議会の概要から、負動産を手放すための安全な引き取り業者の見分け方、その他の処分方法について解説しました。
売却できない不動産を所有し続けることは、税金や管理の負担だけでなく、様々なリスクを伴います。信頼できる引き取り業者やその他の処分方法を上手く活用し、早めに対策を検討するようにしましょう。
KLCでは、不要な不動産を抱えている方に向けて無料査定を行っております。いらない不動産に困っているという方は、お気軽にお声掛けください。
監修者
株式会社KLC 代表 小林 弘典
幼少期から不動産が大好きな、自他共に認める不動産マニア。
不動産会社でも手を出せない不動産の専門会社「株式会社KLC」代表を勤め、
自身のYoutubeチャンネル「相続の鉄人」にて、負動産問題について啓蒙活動も実施。
- 総務省 地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業登録アドバイザー
- 空き家等低利用不動産流通推進協議会 理事
- 立命館大学経済学部 客員講師
- 不動産有料引取業協議会 代表理事


