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不要な不動産でも固定資産税の支払いが永遠に続く?払えない場合の対処方法とは

不動産を所有していると、必ず支払う必要があるのが固定資産税です。固定資産税は、資産価値がなく売却もできず、活用することができない、いわゆる負動産の場合であっても免除されません。

収益価値がない不動産を相続などで所有することになり、固定資産税の支払いに困っているという方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんな固定資産税の支払いでお困りの方のために、固定資産税の概要や、支払いを抑えるための方法など、対処法を紹介します。

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固定資産税とは?永遠に続いていく?

固定資産税とは?永遠に続いていく?

固定資産税は、土地や建物といった資産を所有している所有者に対して課税され、毎年1月1日時点で資産の所有者となっている人が、市区町村に納付する必要があります。

固定資産税は収益を得ていない不動産であっても課税の対象となり、一部の例外を除いて免除されることはなく、支払いは永遠に続いていきます。もし、負動産が子や孫に相続された場合も、税金の支払いを続けていく必要があります。

固定資産税の計算方法は

固定資産税の金額の計算方法を説明します。固定資産税の金額は、まず固定資産に定められた固定資産評価基準に基づき資産の評価を行います。その後、課税標準額を決定し、その金額に1.4%を掛けた額が固定資産税の税額となります。

決められた課税標準額に対し、税率(原則1.4%)を掛けた額が税額となります。しかし、市町村は必要に応じて、1.4%と異なる税率を条例で定めることができます。

引用:総務省:固定資産税「固定資産税の概要と歴史」

なお、税率は自治体によって独自の条例で別途定めている場合があるため注意が必要です。また、土地や家屋の固定資産は、3年に一度評価が見直され、課税標準額が改められます。

固定資産税はいつ支払うのか?

固定資産税の支払い時期は、毎年4月~5月ごろとなっており、不動産を管轄する自治体から納付書が届きます。自治体によって、時期や納付回数がことなりますが、4回に分けて分割納付となっている自治体が大半となっています。

固定資産税を払えないとどうなる?

固定資産税を払えないとどうなる?

固定資産税は、収益を生まない負動産であっても、支払い義務があります。そのため、不動産からの収入がない場合は完全に持ち出しになり、状況によっては固定資産税を払えない自体になることも考えられます。ここでは、固定資産税を払えない場合にどうなるのかを解説します。

督促状が届く

固定資産税の支払い期日を過ぎた場合、まず始めに督促状が送られてきます。督促状については、納期限後二十日以内に督促状を発行するように地方自治法で定められています。また、納付期日を過ぎてしまった場合には、自治体ごとに定められた規定の延滞金が発生します。

催告書が届く

督促状が届いても固定資産税が納付されない場合は、催告書が届きます。催告書は、差し押さえまでの最終通告です。催告書が届いている場合、いつ差し押さえ等をされてもおかしくない状況です。催告書は、法的に必ず送らなくてはいけないものではないため、場合によっては、催告書が来なくても差し押さえされる場合もあります。

差し押さえ

催告書がきても支払いが行われない場合は、差し押さえが行われます。差し押さえは、固定資産税の対象の資産だけでなく、すべての資産が対象となります。役所は財産を調査する権利があり、預金や給与など差し押さえられるものがないかを調査することができます。差し押さえを受けると、銀行口座から預金の引き出しができなくなったり、不動産であれば差し押さえ登記をされ、所有者を変更できなくなる可能性があります。

固定資産税は0円にできる?

固定資産税は0円にできる?

固定資産税は、不動産を所有している限り払い続ける必要があります。そのため、収益価値がない負動産を所有している場合、特に負担に感じる方も多いと思います。しかし、固定資産税にも例外があり、条件を満たすことで0円になる場合があります。

・土地の課税評価額が30万円未満
・建物の課税評価額が20万円未満
・公園や私道など公益性が高い土地になっている場合
・災害等により使用目的が果たせない場合
・保安林に該当する不動産
など

上記に該当する場合は、固定資産税はかかりません。資産価値が低く、免税点未満(土地30万円・家屋20万円)の不動産や、公共地などは、例外的に固定資産税が0円となります。
(自治体によっては独自の条例等が定められている場合もあるため、管轄している不動産の正確な情報は必ず役所等で確認してください。)

固定資産税が下げられるケースとは

固定資産税は、一度基準額が決まれば、変更がない限りその金額を払い続ける必要がありますが、場合によっては例外的に下げることも可能です。

・耐震化のための改修を行った場合
・「認定長期優良住宅」を新築した場合
・不燃化のための建替えを行った場合
・バリアフリー改修(高齢者等居住改修)工事を行った場合
・小規模住宅用地の特例に該当する場合
・農地に種目を変更する場合
など

固定資産税の減額については、耐震工事などのリフォームをした場合や、小規模住宅用地の特例に該当する不動産の場合、固定資産税が減額されます。また、固定資産税は、土地の種目によっても計算方法が異なり、一般的に宅地を農地に変更すると、固定資産税は減額となる可能性が高くなります。
(自治体によっては独自の条例等が定められている場合もあるため、管轄している不動産の正確な情報は必ず役所等で確認してください。)

固定資産税が払えない場合の対処方法とは?

固定資産税が払えない場合の対処方法とは?

負動産を所有している場合は、収益が得られず、むしろ維持・管理のための費用を自分で捻出することになります。そのため、固定資産税を払えなくなるケースも考えられます。ここでは固定資産税を払えない場合の対処方法について紹介します。

分割や猶予を相談する

固定資産税が払えない場合に考えたいのが、分割や猶予を相談することです。役所によっては、分割や猶予の相談にのってもらえる場合もあります。固定資産税は、支払いをせずにいると、財産を差し押さえされてしまう可能性があります。そうなる前に、払えないとわかったらまずは相談してみることを考えましょう。

リースバックする

固定資産税の支払いが難しい場合の対処方法として、リースバックという方法もあります。リースバックとは、所有している不動産を売却し、その後は、売却した不動産に賃貸で住み続ける仕組みのことです。リースバックを使えば、物件を売却することで所有者が変わるため、その後の固定資産税の請求は止まります。また、もし固定資産税に滞納があった場合、売却した代金を税金の支払いにあてることができます。

固定資産税の支払いから逃れるために!負動産を処分する方法とは

固定資産税の支払いから逃れるために!負動産を処分する方法とは

固定資産税は、一定の条件を満たせば免除や減額といった措置を受けることができますが、条件は厳しく、現実的には難しい場合がほとんどです。固定資産税の支払いから逃れるために一番簡単なのは、売却などの方法で処分することです。

特に負動産のように収益を得ることができない不動産の場合は、できるだけ早く処分することをおすすめします。ここでは、負動産のような資産価値がない不動産にも使える処分方法を紹介します。

不動産会社に依頼する

不要な不動産を持っている場合は、まず不動産会社に依頼してみましょう。不動産会社への依頼は、不動産会社に直接買い取ってもらう買取と、他の買い手を探してもらう仲介があります。

買い取りの場合は、すぐに引き取ってもらうことができますが、価格が低くなりやすく、仲介の場合は買い手が現れるまで時間がかかる可能性がありますが、希望した価格で買い手を探してもらえます。ただし、負動産に該当する物件の場合は、取引を断られてしまう可能性も高く、その場合は、他の方法を検討する必要があります。

引き取り業者を利用する

不動産会社にも断られてしまうような負動産の処分については、専門の引き取り業者への依頼を検討しましょう。不動産の引き取り業者は、不要な不動産の活用や処分について独自のノウハウをもっているため、不動産会社に買取を断られてしまった不動産であっても、引き受けてもらえる可能性が高いです。

負動産は、所有しているだけで固定資産税の支払いや維持・管理の義務が永遠に続くため、できる限り早く手放すことをおすすめします。不要な不動産でお困りの場合は、まず無料査定の申し込みを検討してみましょう。

マッチングサービスを利用する

最近では、不動産取引にマッチングサービスを利用する方も増えています。マッチングサービスは、不動産を売りたい人と買いたい人をつなげてくれるプラットフォームです。マッチングサービスを使うことで、不動産会社に売却を断られてしまった不動産でも、好きな価格で情報を登録し、全国の買い手に向けて情報を発信することができます。

マッチングサービスは、売買に関心が高い人が集まっているため、申し込みからの成約率が高いという特徴があります。負動産に困っている方は、ぜひ登録から始めてみて下さい。

まとめ

固定資産税は、不動産を所有している限り永遠に続いていきます。特に負動産のような資産価値がない物件を所有している場合は、税金の支払いは完全な持ち出しとなり大きな負担となります。活用できず、税金を払っているだけといった不動産をお持ちの場合は、本記事での情報も参考に、不動産を手放すことを検討してみることをおすすめします。

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