急な相続で困った方に!山林のおすすめ処分方法やメリット、デメリットを紹介
不要な山林を処分せずに所有していると、固定資産税がかかる、山林の管理が必要になるといった不利益があります。山林を急に相続することになった、不要な山林を所有しているという方は、山林の処分を検討してみましょう。
本記事では、山林の処分でお困りの方のために、おすすめの処分方法や、山林処分の流れ、山林を相続放棄するメリット、デメリットを紹介しています。不要な山林の悩みを解決したいという方は、本記事を参考にしてみてください。
おすすめの山林処分方法6選
山林には様々な処分方法がありますが、それぞれにメリット、デメリットがあります。そのため、状況に合わせ、自分にとって一番適した方法を選ぶことが重要です。
山林を処分したいけど、どの方法が自分に合っているのかわからない、できるだけ手間なく、費用をかけずに山林を処分したいという方の為に、おすすめの処分方法をまとめました。
1.不動産会社に売却を依頼する
不要な山林は、不動産会社に売却を依頼するという処分方法もあります。資産価値がある山林であれば、値段がつく可能性も考えられます。また、不動産会社に売却をしてもらう以外に、仲介を依頼するといった方法もあります。
不動産会社に売却を依頼するすることは、不動産取引の知識を活用できる反面、多くの不動産会社は山林取引の経験に乏しく、山林に資産価値がない場合は引き取ってもらえない、仲介の場合は買手が現れず処分までに時間がかかるといったデメリットがあります。
また、過去には悪徳業者にひっかかり、原野商法など詐欺のターゲットにあってしまったという方もいらっしゃいます。不動産会社を選ぶ際は、会社概要などの情報を必ずよく確認するようにしましょう。
2.森林組合に相談する
不要な山林は、森林組合に引き取ってもらうこともできます。森林組合とは、森林所有者が互いに協同して林業の発展をめざす、協同組合です。
森林組合は、林業などを営む事業者で構成されているため、山林によっては、買い取ってもらえる可能性があり、思い入れがある土地を有効活用してもらえるメリットがあります。
反面、山林によっては買い取りや引き取りを行ってもえらない場合があること、手続きまでに時間がかかる可能性があること、全ての森林組合が山林の引き取りをおこなっているわけではない点に注意しましょう。
森林組合を利用したい場合は、山林の登記がある地域に森林組合があるかを調べてみるといいでしょう。
全国森林組合連合会の公式サイト
3.自治体に寄付
自治体に山林を寄付をするという処分方法もあります。自治体に山林を寄付するメリットは、処分費用をかけずに山林を手放すことができる、寄付をすることで寄付控除の対象になる可能性がある点です。自治体によっては、価値のある山林であれば、買い取りをおこなってくれる場合もあります。
注意点として、山林の寄付を受付している自治体はごく少数であること、共有地の持分の一部であったり、土壌汚染があるなど、山林によっては引き取って貰えない事、手続きまでに時間がかかる点があげられます。
自治体に寄付をしたい場合は、まず山林の登記がある市区町村に問い合わせをしてみましょう。
4.相続放棄をする
不要な山林を相続してしまった場合は、相続を放棄するという選択肢もあります。相続を放棄した場合は、山林を所有しないことになるため、山林の管理義務や固定資産税の支払い義務がなくなります。
ただし、相続を放棄すると、現預金や株式といったその他の財産その他の財産も相続できず、一部の税額控除を受けられなくなります。また、相続を放棄しても、引き続き山林の管理義務が発生する場合もあります。
相続放棄については、その他の親族等に告知する義務等はありませんが、放棄すると次の順位の親族に相続権が移ります。令和6年4月1日からは、相続登記の申請が義務化され、相続権をもつ親族の間で、土地を管理する必要があります。
もし相続放棄を次の順位の親族に知らせなかった場合、当人からすれば知らないうちに土地の管理義務を負うことになり、トラブルになることも考えられます。相続放棄をする場合は、次の順位の親族等に相談しておくといいでしょう。
参考:相続登記が義務化されます:東京法務局
5.相続土地国庫帰属制度を活用する
相続土地国庫帰属制度を活用することで、不要な山林を有料で引き取ってもらえます。 相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月より新たに始まった制度で、相続や遺贈によって得た不要な土地を国に引き取ってもらうことができる制度です。
制度を利用したい場合は、まず法務局または地方法務局に相談しましょう。
相続土地国庫制度は大変便利な制度ですが、急傾斜がある山林や境界が不明確な山林によっては、引き取って貰えない可能性があります。また、審査手数料や負担金が発生すること、山林が共有名義の場合は、共有者全員で申請する必要がある点に注意しましょう。
相続土地国庫帰属制度の詳細はこちら
6.山林引き取りサービスを利用
山林を手間なく簡単に処分したいという方におすすめなのが、山林引き取りサービスです。山林引き取りサービスとは、Webサイトなどを通じて、民間の不動産会社や引き取り業者に山林の引き取りを依頼できるサービスです。
山林引き取りサービスは、依頼することですぐに引き取って貰えるというメリットがあります。また、多くの山林を引き取ってきたプロが対応してくれるため、手続きなどの様々な相談もすることができます。
ただし、山林によっては、引き取りに費用が発生する可能性がある点に注意しましょう。一般的に、不動産というと買い取ってもらうイメージが強いかもしれません。
資産価値がない山林や、本来必要な伐採等が実施されていない山林は、引き取り後の整備にコストがかかるため、その分を負担して処分してもらうことになります。費用を払って処分してもらうことになります。
サービスを利用する際は、複数のサイトで見積もりをとるようにすると、適正な料金を把握でき、コストを抑えられるでしょう。
不要な山林は、所有しているだけで税金がかかる、管理や維持が必要になるなど様々なコストがかかります。不要な山林をお持ちの方は、まずは山林引き取りサービスへの相談を考えてみるといいでしょう。
おすすめの山林引き取りサービスはこちら
↓
山林処分の流れ
ここでは山林を処分するまでの一般的な流れを解説します。どの処分方法においても、山林を処分する際は、まず必要な書類を準備し、その後取引相手に相談、見積もりを出してもらい、調査、契約締結といった流れになります。
1.登記簿謄本または固定資産税の課税証明書を準備する
山林を処分する場合は、山林の評価額や住所、所有者等が確認できる書類が必要となります。特に、登記簿謄本や固定資産税の課税証明書はどの方法でも必要になってくる書類ですので、準備しておくようにしましょう。
登記謄本は法務局、固定資産税の課税証明書については、自治体の窓口で取得可能です。
処分方法によっては、公図、地番図といった書類が必要になりますので、処分方法に応じた書類を揃えておくといいでしょう。
2.山林の売却の見積もり・相談
書類を揃えたら、山林を処分するための見積もりや相談を行います。売却できるのか、または引き取りになり費用が発生するのか、処分までの期間などを確認しましょう。
3.山林の現地調査
相談後、引き取り先による現地調査に移ります。現地調査では、山林の状況を確認します。最近では、現地までいかずにドローンなどで調査をすることもあるようです。処分方法によっては、調査費用がかかる場合もあるので、確認しておくといいでしょう。
4.契約の締結
現地調査が終わると、契約の締結に移ります。所有名義の変更を法務局で行い、契約書類にしたがって手続きを進めましょう。名義変更法務局に申請してから、名義変更の情報が反映されるまでにかかる期間は、概ね2週間程度となります。名義変更が終われば、山林の処分は完了となります。
売れない山林を相続して放置すると起こること
不要な山林を放置していると、税金がかかってくる、事件に巻き込まれるなど、様々な不利益が起こる可能性があります。ここでは、山林を所有している場合の注意点をお伝えします。
税金がかかる
山林を所有していると毎年固定資産税の納税義務が発生します。固定資産税は、固定資産の評価額の1.4%となっており、山林の場合は、土地の広さや木の種類によっても評価額が異なります
また、市街地の近くにあるなど、山林が宅地とみなされた場合は、土地評価額の計算方法が山林ではなく宅地となり、税金も高額になってしまいます。
事件に巻き込まれる可能性がある
土地の所有者は、その土地に対して管理責任があります。もし所有している山林の保存方法が悪く、第三者に損害を与えた場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。例えば、山林の木が道路にはみ出しており事故の原因となったという場合、管理責任が問われる可能性があります。
また、山林を放置していると、不法投棄をされたり、山林の中で事件を起こされてしまうなど、意図しない形で事件や事故に巻き込まれる可能性があります。
資産価値が下がる
山林を放置していると、土地はどんどん荒れ果てていきます。山林によっては、手入れが行き届いた山林であれば、林業などに活用できる可能性があります。しかし、放置しておくと、雑草が生えたり、土地が痩せたりと荒廃していき、資産価値がどんどん下がってしまいます。
山林を引き取ってもらう場合、もし土地に資産価値があれば、山林を売却することができます。ですが荒れ果ててしまった山林では、逆に処分費用を支払わなくてはいけません。
山林を相続放棄するメリットとは
山林を所有するパターンとして最も多いのが、山林を相続する場合です。不要な山林を相続したくない、そんな時は相続放棄をすれば山林を所有せずに済みます。
しかし、相続放棄には様々なメリット、デメリットがあります。ここでは、相続放棄をした場合に、どのようなメリットがあるのかを紹介します。
維持、管理の必要がなくなる
山林を相続放棄することで、山林を維持、管理する必要がなくなります。山林を所有している間は、山林の維持、管理義務があります。例えば、所有している山林の枝が道路にはみ出して事故を起こしてしまった、山林の中で事件、事故等が発生したという場合、相続によって所有した山林であっても、所有権があれば賠償責任等を問われる可能性があります。
山林が遠方にあったり、広大で管理をしていく余裕がないという場合は、相続放棄をすることで管理義務を免れることができます。
固定資産税がかからなくなる
山林を所有していると、固定資産税の支払い義務が生じます。例え収益を生まない土地であったとしても、土地の評価額に応じた固定資産税を毎年支払う必要があります。固定資産税は、その土地の評価額である固定資産税課税標準額×1.4%の金額となります。
100万円の固定資産税課税標準額の山林の場合
100万円×1.4% = 14,000円
相続放棄をすることで、所有者ではなくなるため、固定資産税の支払い義務を免れることができます。
山林を相続放棄するデメリットとは
不要な山林を相続放棄することで、管理義務や税金の支払い義務を免れることができますが、相続放棄には、その他の財産を相続できないといったデメリットもあります。
ここでは、山林を相続放棄する場合のデメリットについて解説します。
その他の財産を相続できない
相続を放棄すると、その他の財産も相続できなくなります。例えば、現金や株式、また故人の所有物など、すべての財産を相続できません。そのため、山林の処分費用を考慮した上で、財産がプラスになるという場合は、相続した方が有利です。
山林の相続放棄を考えている場合は、この点を考慮した上で判断するといいでしょう。
非課税枠や税額控除の適用外となる
相続放棄をした場合、非課税枠や税額控除といった税金面での優遇措置が適用されなくなります。
非課税枠とは、相続人が保険金等を受け取る場合に、「500万円×法定相続人」の金額を非課税とする制度です。相続放棄をした場合でも、死亡保険金の受け取りは可能ですが、非課税枠の対象外となります。
また相続放棄をした場合は、相次相続控除の対象外となる、その他の相続人の相続税の負担が増えるといった点にも注意が必要です。
親族との調整が必要
相続放棄については、法令上その他の相続人に周知しなくてはいけないといった義務はありませんが、親族との調整が必要になる場合があります。
山林は、相続すると管理義務や納税義務が発生します。そのため、次の順位の親族に対して相続放棄する旨を知らせておかないと、トラブルになる可能性があります。
相続放棄をすることで、次の順位の親族との話し合いをまとめる必要が新たに発生してしまうことを覚えておきましょう。
山林の管理義務が発生する場合もある
通常、相続放棄をすれば全ての財産についての管理義務はなくなります。しかし、例外があり、場合によっては引き続き山林の管理義務が発生する場合があります。
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
民法(明治二十九年法律第八十九号)(令和五年法律第五十三号による改正:e-Gov法令検索より引用
相続を放棄した際に、例えば山林内に家を所有していた、なんらかの形で山林を管理していたといった場合は、占有していると見なされる場合があります。
不要な山林は早めに処分しょう
不要な山林を所有していることは、土地の管理責任や税金の面から考えても、メリットは皆無です。また、山林は管理をしていないと、土地は荒れ果て、資産価値も下がっていきます。本来なら価値がある山林でも、放置しておくと処分費用がかかる山林になってしまう可能性があります。
そのため、不要な山林については出来るだけ早めに処分することをおすすめします。山林の処分方法は、紹介した通り様々な方法がありますが、手間なく出来るだけ早く山林を処分したい場合は、山林引き取りサービスの利用を検討してみましょう。
おすすめの山林引き取りサービスはこちら
↓
まとめ
不要な山林を所有することは大きな負担となります。山林を相続した、管理できない山林があるという場合は、できるだけ早く処分されることをお勧め致します。本記事を参考に、ぜひご自身にあった方法で山林の処分を検討してみてくださいね。