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負動産の処分方法9選を徹底比較!最も簡単に処分できる方法は?

相続や遺贈などで、使い道がなくコストを負担するだけの資産価値がない「負動産」を所有し、お困りではないでしょうか。負動産は、所有しているだけで管理義務が発生する、毎年の税金の支払いが積み重なっていくなど、所有者には大きな負担となります。

本記事では、負動産でお困りの方に向けて、おすすめの処分方法や、それぞれのメリットやデメリット、処分のために必要な準備を紹介しています。処分方法を検討しているが、どの方法がいいのかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

負動産は持っているだけで損をする

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収益価値のない不動産や、資産価値がない山林や農地を、負動産といいます。負動産は、使用していなくても所有しているだけで、維持・管理義務や税金の支払いが積みあがっていきます。

負動産を所有していると、それだけでリスクとなり、手間やコストを負担することになります。そのため、出来るだけ早く処分することをおすすめします。

負動産の処分でお困りの方に!おすすめの処分方法9選を紹介!

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負動産を処分したくても、処分方法がわからない、どの方法が自分に向いているか判断できないなど、お困りではないでしょうか。

ここでは、手間なく簡単に負動産を処分できるおすすめの方法、それぞれのメリット、デメリットを具体的に紹介します。

処分方法処分までにかかる時間 処分費用難易度
不動産会社に依頼長い利益が見込める高い
個人へ譲渡普通低い高い
自治体へ寄付短い低い高い
空き家バンクの登録長い利益が見込める普通
マッチングサイト長い利益が見込める普通
相続放棄短い低い普通
相続土地国庫帰属制度長い高い高い
不動産引き取り業者へ依頼短い高い低い
収益化をめざす長い利益が見込める高い

1.不動産会社に買取・仲介を依頼

処分方法として、不動産会社に買取や仲介を依頼する方法があります。買取・仲介を依頼することで、一見すると資産価値がない負動産であっても、高く売ることができれば売却益を出せる場合があります。

注意点として、山林や田舎の空き家など市場性が低い不動産の場合、インターネットへの情報掲載や売出し中の看板の設置をしてくれない、営業活動が実らず取引につながらないケースもあります。また、営業活動が苦戦することを不動産会社が予め見越して、そもそも相談に乗ってくれないといったデメリットがあります。

買取や仲介は、取引まで時間がかかる可能性がありますが、不動産のプロである不動産会社が、トラブルが起きないよう売買のやり取りを助けてくれます。そのため、時間に余裕があり、不動産取引に慣れていない方におすすめです。

メリット
・高く売れ、売却益をだせる可能性がある
デメリット
・市場性が低い不動産は対象外の場合もある
・営業活動が実らず、取引が成立しない/成約まで長期化する場合もある
こんな人におすすめ
・時間に余裕があり、不動産取引に慣れていない方

2.個人へ無償譲渡

負動産は、個人へ無償譲渡して処分する方法もあります。隣地の土地所有者などであれば、無償譲渡できる可能性も高くなります。

個人への無償譲渡は、土地を無償で処分できますが、売買契約書などの作成を自分達で行う必要があるほか、不動産の評価額によっては、相手方(新所有者)に贈与税がかかることがあります。

近隣の方との付き合いがある場合は相談しやすいと思いますが、付き合いが無い場合は、法務局で隣地所有者を調べて手紙を出すことで連絡をとることができますので、法務局に相談してみましょう。

個人への無償譲渡は、無償譲渡のための交渉が苦にならない、時間がとれるといった方におすすめの方法です。

メリット
・処分にかかる仲介手数料等のコストを削減できる
・成約率が高い
デメリット
・相手に贈与税がかかる場合がある
・売買手続きを自分達で行う必要がある
こんな人におすすめ
・交渉が負担にならず、時間がある方

3.自治体へ寄付

負動産は、自治体へ寄付することができる場合があります。自治体への寄付は、コストをかけずに無償で不動産を処分できるメリットがあります。

反面、寄付後の維持管理に掛かる経費は、市民の税金から賄うことになり、そのコストに見合う価値(公園や道路など、公共性のある使い道が見いだせるか等)があるのか厳しく判断されるため、当てはまる不動産がほとんどないというデメリットがあります。

自治体への寄付は、公共施設に適した土地を所有しているなど、公共性が見込めそうな不動産を持っている方におすすめの方法です。

メリット
・コストをかけずに無償で処分できる
デメリット
・公共性のある不動産はごく僅かで、寄付できるケースがほとんどない
こんな人におすすめ
・公共性をもった活用が見込める土地を所有している方

4.空き家バンクへの登録

空き家バンクに登録することで、負動産を処分するといった方法もあります。空き家バンクは、自治体等が運営する、売りたい空き家の情報を全国に発信してくれる支援制度です。一部の自治体では、山林や農地など、空き地の情報を取り扱ってくれることもあります。

空き家バンクは、不要な空き家情報を全国に発信でき、早期に買い手をみつけることができる可能性があります。デメリットとしては、全ての自治体で登録を受け付けているわけではない点、自治体によっては情報発信力に乏しく、買い手がなかなか見つからないケースもあることが挙げられます。

空き家バンクへの登録は、売買まで時間の余裕があり、手間をかけず効率的に情報発信したい方におすすめです。

メリット
・利益を出せる可能性がある
デメリット
・利用出来ない自治体がある・買い手が見つからない可能性がある
こんな人におすすめ
・売買まで時間の余裕があり、手間をかけずに効率的に情報発信したい方

5.マッチングサイトの利用

個人間の売買の場を提供しているマッチングサイトも、負動産の処分に有効な方法です。マッチングサイトは、自分の好きな価格で不動産を売却でき、自宅から簡単に登録が可能です。また、マッチングサイトは、負動産を有効活用したいという人が集中して物件探しをしているため、高い成約率も特徴の一つです。

反面、買い手が現れない可能性がある、利用に費用がかかる場合があるといったデメリットがあります。

売却まで時間的に余裕があり、思い入れのある土地を有効活用したいという方におすすめです。

メリット
・好きな価格で売却でき、募集価格の変更なども簡単
・自宅から簡単に登録でき、不動産会社などとの相性やストレスを気にする必要が無い
・利益を出せる可能性がある
デメリット
・買手が現れない可能性がある・利用に費用がかかる場合がある
こんな人におすすめ
・売却まで時間に余裕があり、少しでも好条件で譲渡したい方

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6.相続放棄

相続放棄をすれば、そもそも負動産を所有せずに済みます。しかし、相続放棄には、故人の現預金といった他の財産も一切相続できない、相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければならず、制約が非常に大きいといったデメリットがあります。

相続放棄は、故人が不動産以外に財産をもっておらず、計画的に相続を進めたいという方におすすめの方法です。

メリット
・負動産を所有せずに済む
デメリット
・他の財産も相続できない
・相続を知った日から三ヵ月以内に裁判所での手続きを行う必要がある
こんな人におすすめ
・故人が不動産以外に財産をもっておらず、計画的に相続を進めたい方

7.相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度を使えば、不要な土地を国に有料で引き取って貰うことができます。

相続土地国庫帰属制度のメリットは、相続放棄と異なり、現預金などは相続しつつ、不要な土地だけを手放すことができる点です。ただし、制度の対象となる土地が限定されている、制度の利用に費用がかかるといったデメリットがあります。

相続土地国庫帰属制度は、相続をしたうえで、費用をかけても不要な土地を処分したい方におすすめです。

メリット
・相続をして不要な土地を手放せる
デメリット
・利用できる土地が限定されている・制度の利用に費用がかかる
こんな人におすすめ
費用がかかってもいいから不要な土地を処分したい方

8.不動産引き取り業者へ依頼

負動産は、不動産引き取り業者へ依頼して引き取ってもらうこともできます。引き取り業者への依頼には、手間なく処分できる、自治体への寄付や相続土地国庫帰属制度と違い、引き取って貰える土地の条件が緩いといったメリットがあります。

その一方で、引き取りのための費用がかかる点がデメリットです。また、なかには土地を引き取る代わりに他の不要な土地を売りつけてくるなど、怪しげな業者もいるので注意が必要です。

不動産引き取り業者への依頼は、不動産取引に慣れていない、出来るだけ早く簡単に不動産を処分したいという方におすすめです。

メリット
・手間なく簡単に処分できる
・引き取って貰える土地の範囲が広い
デメリット
・費用がかかる
・業者選定には注意が必要
こんな人におすすめ
・不動産取引に慣れていない、手間なく簡単に不動産を処分したい

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9.収益化を目指す

負動産は、場合によっては収益化することも可能です。例えば、山林などを開拓しキャンプ場にしたり、空き家を更地にして駐車場にするといった方法があります。

収益化は、うまくいけば土地を有効活用できるといったメリットがあります。しかし、不動産やビジネスの知識がなければ上手くいかない可能性があり、費用をかけて整備しても収益化できない場合もあります。

収益化は、不動産やビジネスの知識があり、立地がいい土地を所有しているといった方におすすめです。

メリット
・不要な土地を収益化できる
デメリット
・ビジネスや不動産の知識がないと難しい
・収益化のための費用を回収できない可能性がある
こんな人におすすめ
・不動産やビジネスの知識があり、収益化に適した土地を所有している

負動産の処分に必要な準備とは

負動産を処分したいと思っても、必要な手続きや準備がわからず、踏み切れずにいないでしょうか。ここでは、負動産の処分のために必要な準備や手続きについて解説致します。

書類を用意する

負動産を処分するためには、登記簿謄本等の書類を準備する必要があります。具体的には、下記の様な書類が必要となります。

登記簿謄本(登記事項証明書)

登記簿謄本は、不動産の所有者に関する情報などが記載された書類です。法務局にて取得可能で、オンラインや郵送でも取得できます。登記簿謄本を取得することで、所有している不動産の面積や地目(土地の種類)などが分かり、購入検討者等に不動産情報を提供する際に役立ちます。

権利書(登記識別情報)

権利書は、土地の登記をしたことを証明する書類です。2004年以降は、権利書ではなく登記識別情報として番号を記載した書類が交付されています。

印鑑登録証明書

印鑑登録証明書は、登録された印鑑が本物であることを証明する書類です。役所や役所の出張窓口でも取得できます。

印鑑証明が必要になるタイミングは、新所有者が見つかり、名義を移転する(所有権移転)際の手続き時です。印鑑証明は、手続きから3ヶ月以内のものが必要になるため、買い手が見つかり、手続きのメドが立ったときに取得すれば足ります。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書は、不動産の評価額を証明する書類でおもに市区町村の窓口で取得できます。

固定資産評価証明書は、購入検討者が不動産の評価額を確認したい場合に開示したり、新所有者への名義移転手続きの際に使用します。

なお、固定資産税を納めている方は、毎年4~6月に市町村役場から固定資産税の納付書が郵送されてくると思いますが、そこに同封されている、「固定資産課税明細」で代用できる場合もあります。

本人確認書類

本人確認書類は、本人であることを公的に証明する書類です。運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど、写真付きの証明書を用意しましょう。本人確認書類は、主に新所有者への名義移転の際に使用します。

共同名義人の合意を得ておく

負動産を処分する際に、共同名義人がいる場合は、売却時にその共同名義人全員の署名・実印が必要になるため、あらかじめ共同名義人の合意を得ておくと、その後の取引がスムーズに進みます。合意を得た後は、代表者を決めてその後の手続きを進められるようにしておくといいでしょう。

現地確認をしておく

処分の前には、土地の現地確認をしておきましょう。確認するポイントは、敷地の除草や草木の伐採が必要か、敷地内の行き来に隣地を通らず出入りできるか、境界の有無などです。現地確認をすることで、どの処分方法が適切かを判断しやすくなります。

まとめ

本記事では、負動産のおすすめの処分方法やそれぞれのメリット、デメリット、処分のために必要な準備などについて解説しました。負動産は、処分せずに所有していると様々な不利益が生じます。処分方法がわからず困っている方は、本記事を参考に自分に合った処分方法を探してみて下さい。